[#55]ストレスが抜けない身体は、なぜ肩や背中が硬くなるのか|整体師が見る"緊張の蓄積"
もくじ
みなみけんぞう先生、最近ちょっと不思議なことがあって。休日、子どもたちが昼寝してる間にソファでゆっくりしてたはずなのに、気づいたら肩がガチガチに力入ってて。休んでるのに、なんでこんなに緊張してるんだろうって。
けんぞう先生それ、実はよく聞くお悩みなんです。「休んでいるのに身体が緊張したまま」という状態、心当たりのある方は多いと思います。
みなみ休んでるつもりなのに、身体は休めてないってことですか?
けんぞう先生そうなんです。今日は、ストレスがどうやって筋肉のこわばりとして身体に蓄積していくのか、その仕組みを一緒に整理していきましょう。
「休んでるのに、なんだか身体が緊張したまま」に心当たりありませんか
けんぞう先生みなみさんのように、在宅ワークをしながら3人のお子さんを育てていると、常に何かに対応している状態が続きますよね。
みなみそうなんです。仕事しながら子どもの様子も気にして、家事もあって……座って休んでる時間はあっても、頭も身体も休まってない気がします。
けんぞう先生それはすごく分かります。実は身体の緊張って、「休憩する」「横になる」だけでは、必ずしも緩まないんです。
みなみそうなんですか?横になれば緩むものだと思ってました。
けんぞう先生姿勢としては休んでいても、筋肉そのものは力が入ったままということがあるんです。
ストレスは、実は"筋肉"に伝わっている
けんぞう先生ストレスを感じると、身体は無意識に、肩や首、背中まわりの筋肉に力を入れる反応を起こします。
けんぞう先生ただ、力が入る場所には個人差があります。歯ぎしりのように歯や顎に出る方もいれば、脚やお尻にぎゅっと力が入る方もいます。
みなみストレスで筋肉に力が入るって、初めて聞きました。
けんぞう先生緊張する場面で、肩がすくんだり、歯を食いしばったりした経験ってありませんか?あれと同じことが、気づかないレベルで日常的に起きているんです。
みなみ言われてみれば、仕事中とか、子どもが泣き止まない時とか、肩に力が入ってる気がします。
けんぞう先生それです。ストレスがかかっている間、身体は「臨戦態勢」のようなかたちで筋肉を緊張させます。これ自体は身体の自然な反応で、悪いことではありません。
みなみじゃあ、何が問題なんですか?
けんぞう先生問題は、その緊張が「その場で終わらない」場合なんです。
なぜ緊張は「抜けにくい」のか——一時的な緊張と、蓄積した緊張の違い

けんぞう先生一時的な緊張——たとえば発表の前だけ緊張する、というようなものは、その場面が終われば自然と緩みます。でも、ストレスが慢性的に続くと、話が変わってきます。
みなみ慢性的だと、何が違うんですか?
けんぞう先生緊張している時間が長く続くと、筋肉が「そのままの状態」でいることに慣れていってしまうんです。緩めようと思っても、なかなか元の柔らかさに戻らない。これが「蓄積した緊張」です。
みなみ私の肩、まさにそれかもしれません……。
けんぞう先生在宅ワークで座りっぱなし、常に子どもの気配に神経を使う、休みの日も気が抜けない。そういう生活だと、緊張がリセットされる時間がほとんどないまま、日々積み重なっていきやすいんです。
みなみ休んでるつもりでも、実は緊張がずっと続いてるってことなんですね。
けんぞう先生そうなんです。この「蓄積した緊張」は、姿勢の崩れとも深く関わっています。筋肉が硬いままだと、骨で身体を支えにくくなって、余計に筋肉に頼った姿勢になっていく。そうするとさらに緊張が抜けにくくなる、という悪循環にもつながります。
けんぞう先生この緊張の蓄積は、自律神経の切り替えや睡眠の質にも関わってきます。その仕組みについては、以前お話しした別の記事で詳しく整理していますので、気になる方はそちらもあわせて読んでみてください。
呼吸や食事だけでは届かない領域がある
みなみ前に教えてもらった、休むモードに切り替わりやすくなる食事の話とか、深呼吸とか、そういうのじゃダメなんですか?
けんぞう先生いえ、あれらはすごく有効なアプローチです。ただ、正直にお伝えすると、届く範囲には限界があります。
みなみ限界、ですか。
けんぞう先生食事や呼吸は、自律神経の切り替えを後押しする工夫としてはとても良いものです。ただ、すでに硬く定着してしまった筋肉そのものは、食事や呼吸だけでは、なかなか元の柔らかさまで戻りにくいことがあるんです。
みなみじゃあ、蓄積しちゃった緊張はどうすればいいんですか?
けんぞう先生そこは、また別のアプローチが必要になってきます。順番にお話ししていきますね。
自己チェック:あなたの「こわばり」は蓄積型?一時型?
けんぞう先生まず、自分の緊張がどちらのタイプに近いか、確認してみましょう。
けんぞう先生【蓄積型のサイン】
- 休みの日でも、肩や背中の硬さが抜けきらない
- マッサージを受けた直後は楽になるが、数日で元に戻る
- 特に何もしていないのに、肩や首が重だるい
- 力を抜こうとしても、抜き方が分からない感覚がある
- 慢性的に忙しい状態が、ここ数ヶ月続いている
みなみほぼ全部当てはまります……。
けんぞう先生複数当てはまる方は、蓄積型の傾向が強いと考えていいと思います。逆に、特定の場面(発表の前、締め切り前など)だけ緊張して、その後は自然に緩む場合は、一時的な緊張と考えられます。
今日からできる、こわばりを溜めないための工夫

けんぞう先生蓄積を完全に防ぐのは難しいですが、溜め込む量を減らす工夫はできます。
けんぞう先生1. こまめに身体を動かす
同じ姿勢を長時間続けると、緊張が固定されやすくなります。1時間に一度、少し立って歩くだけでも違います。
同じ姿勢を長時間続けると、緊張が固定されやすくなります。1時間に一度、少し立って歩くだけでも違います。
けんぞう先生2. フォームローラーやストレッチポールを使うなら、脱力がポイント
力を入れて押し当てるのは、実はアクセルとブレーキを同時に踏んでいるような状態で逆効果になることがあります。完全に脱力して、同じ場所を30〜90秒以上キープするのが正しい使い方です。
力を入れて押し当てるのは、実はアクセルとブレーキを同時に踏んでいるような状態で逆効果になることがあります。完全に脱力して、同じ場所を30〜90秒以上キープするのが正しい使い方です。
みなみ力を入れて押した方が効きそうな気がしてました。
けんぞう先生すごく多い誤解なんです。力を抜くことが、緊張を緩めるための前提条件になります。ゴリゴリと押し当てたりしたほうが、ガチガチのところは気持ちいいのはとってもわかるんですけどね。
けんぞう先生3. 「緊張していい時間」と「緩めていい時間」を意識的に分ける
常に気を張っている生活だと、緩める時間そのものがなくなってしまいます。短時間でも、意識的に力を抜く時間を作ることが大切です。
常に気を張っている生活だと、緩める時間そのものがなくなってしまいます。短時間でも、意識的に力を抜く時間を作ることが大切です。
みなみ意識しないと、緩める時間って作れないものなんですね。
けんぞう先生そうなんです。「休んでいるつもり」と「実際に緩んでいる」は、別物だと考えてみてください。
セルフケアで変わらない時は、専門的な手技によるケアも選択肢に
けんぞう先生ここまでお話ししたセルフケアで変化を感じられる方もいますが、蓄積がかなり進んでいる場合、セルフケアだけでは届きにくいこともあります。
みなみそういう時はどうすればいいんですか?
けんぞう先生まず、強い痛みやしびれがある場合は、医療機関を受診してください。検査で異常なしと言われたのに不調が続く方、そこからが当サイトの領域の出番です。
みなみ検査で異常がなくても、身体は硬いままってことがあるんですね。
けんぞう先生はい。ここで一つ整理しておきたいのですが、マッサージと、骨格や筋肉の状態を専門的にみる手技によるケアは、実は役割が違います。マッサージは「リラックスしたい」時に利用するもので、効果を求めて利用するものとは分けて考えた方がいいんです。蓄積した緊張の根っこにアプローチしたい場合は、手技によるケアの専門的な民間療法が、現実的な選択肢になることもあります。
みなみリラックス目的か、根っこにアプローチしたいのかで、選ぶところが変わるんですね。
けんぞう先生その通りです。あきらめる必要はありません。その不調、寝具や生活習慣のせいだけじゃないかもしれません。身体の状態を整えた上で、自分に合った環境を選ぶことが大切です。
※この記事の内容は一般的な情報提供であり、診断や治療の代わりにはなりません。
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まとめ
- ストレスは、無意識のうちに肩・首・背中の筋肉の緊張として身体に伝わる
- 一時的な緊張はその場で緩むが、慢性的に続くと「蓄積した緊張」として定着しやすい
- 呼吸や食事の工夫は自律神経の切り替えを後押しするが、すでに硬く定着した筋肉そのものには届きにくいことがある
- 蓄積型か一時型か、まずは自分の状態をセルフチェックで確認する
- こまめに動く・正しい脱力でのケア・緊張と緩みの時間を意識的に分けることが、蓄積を減らす工夫になる
- セルフケアで変わらない場合は、専門的な手技によるケアも選択肢の一つ
執筆・監修:けんぞう先生(整体師/施術歴13年・延べ2万7千人以上)
よくある質問
Q. ストレスがなくなれば、筋肉のこわばりもなくなりますか?
ストレスの原因そのものを取り除くのが難しい場合も多いと思います。ストレスをゼロにすることよりも、緊張を溜め込みすぎない工夫や、こまめに緩める習慣を持つことの方が、現実的なアプローチだと考えています。
Q. マッサージに定期的に通っているのに、こわばりが戻ってしまいます。なぜですか?
マッサージは、その場での緊張を緩める助けにはなりますが、緊張を生み出している生活習慣や姿勢そのものが変わらなければ、また同じことの繰り返しになりやすいです。根本的な部分にアプローチしたい場合は、別のアプローチも検討してみてください。
Q. 子育て中で、緩める時間を作るのが難しいです。何かコツはありますか?
まとまった時間を作るのが難しい場合は、数分単位の小さな工夫を積み重ねる方が現実的です。子どもが寝ている数分間だけ意識的に脱力する、といった小さな習慣から始めてみてください。
Q. どのくらいの期間で緊張は緩んでいきますか?
蓄積した期間や程度によって個人差が大きいので、一概には言えません。焦らず、日々の小さな工夫を積み重ねていくことが大切です。

