[#19]タオル枕の作り方。整体師が教える「首に合う高さ」の見つけ方
「枕が合わなくて、もう何個も買い替えてるんです」
施術歴23年・延べ4万5千人の身体と向き合ってきた中で、この「枕ジプシー」のお悩みは数えきれないほど伺ってきました。そしてそのたびに、私がまずおすすめしてきたのが、意外に思われるかもしれませんが、タオルで作る枕です。
新しい枕を探す前に、おうちにあるタオルで「自分の首に合う高さ」を知る。実はこれ、遠回りに見えていちばんの近道なんです。
今日は、タオル枕の作り方と、いちばん大事な「自分に合う高さの見つけ方」を、手順を追ってお話しします。今夜からできて、費用はゼロ。どうぞ気軽に試してみてください。
なぜ整体師が「まずタオル」と言うのか
枕選びで失敗が続く理由は、シンプルです。市販の枕は形や硬さが最初から決まっていて、細かく変えられないものが多いから。「試して、合わなくて、また買う」を繰り返すことになりやすいんですね。
タオル枕は、この順番をひっくり返します。先に自分のサイズを知って、それから枕を選ぶ。この順番なら、遠回りがぐっと減ります。
タオル枕が優れている3つの理由
私がタオル枕をおすすめする理由は、3つあります。
理由①:高さをミリ単位で調整できる
タオルは、折り方と巻き方次第で高さが自由自在です。「あと少しだけ低くしたい」が、折り返し1回で叶います。この微調整のしやすさは、既製品の枕にはない最大の強みです。
理由②:いつでも洗える
枕は毎晩、汗や皮脂を受け止めています。タオルなら他の洗濯物と一緒に洗って乾かせるので、いつも清潔な状態を保ちやすい。肌が敏感な方や、小さなお子さんと一緒に寝ている方にも安心です。
理由③:費用がかからない
おうちにあるタオルで、今夜から試せます。「高い枕を買って失敗したらどうしよう」というプレッシャーなしで、じっくり自分の高さを探せます。
用意するもの
用意するものは、これだけです。
- タオル1〜2枚(バスタオルでも可。一般的なバスタオルサイズ・約60×120cm前後が作りやすい)
- あれば:フェイスタオル1枚(最後の微調整用)
フェイスタオルしかない場合は、2枚を重ねて使えば同じように作れます。
厚手でも薄手でも構いませんが、厚みが均一で、くたっとしすぎていないものが作りやすいです。2枚使うかどうかは体格や好みによるので、まずは1枚から始めましょう。
基本の作り方
手順①:タオルを縦半分に折る
タオルを縦長のまま半分に折って、幅30cmほどの細長い形にします。
手順②:片側から3分の1ほどをくるくる巻く
細長くしたタオルの片側から、全体の3分の1くらいまでをくるくると巻いて、ロール(筒)を作ります。残りの3分の2は平らなまま残します。
手順③:ロールを首側、平らな部分を頭側にして置く
寝たときに、巻いたロール部分が首の下、平らな部分が後頭部の下に来る向きで敷きます。ロールが首の自然なカーブをやさしく支え、平らな部分が頭を受け止める。この役割分担が大事です。
手順④:仰向けに寝て、高さを確かめる
実際に寝てみて、次の章の「高さの見つけ方」でチェックします。高すぎ・低すぎと感じたら、巻く量や折りの回数で調整します。
いちばん大事な「自分に合う高さ」の見つけ方
ここが今日の本題です。タオル枕の高さが合っているかどうかは、次のチェックポイントで確かめます。
チェック①:目線は真上よりやや上
仰向けに寝たとき、目線が真上(天井の真上)よりも、ほんの少しだけ頭側に向くくらいが目安です。あごが上がって目線が頭の上側に行くなら高すぎ、あごが引けて足元ばかり見えるなら低すぎです。
チェック②:首の下にすき間がない
首の後ろとタオルの間に手を入れてみて、大きなすき間があれば、ロールが細すぎるか位置がずれています。首のカーブにロールがぴったり寄り添っている状態が理想です。
チェック③:呼吸がすっと入る
深呼吸をひとつしてみてください。高さが合っていると、のどが圧迫されず、息が胸の奥まですっと入ります。息がしにくい・のどが詰まる感じがあれば、高すぎか低すぎのサインです。
チェック④:肩の力が抜ける
高さが合うと、肩や首まわりの力が自然と抜けていきます。どこかで踏ん張っている感じが残るなら、もうひと調整しましょう。
当サイトでいつもお話ししている「骨で支える身体」の考え方は、眠っている間も同じです。首のカーブが保たれていれば、頭の重さは骨で受け止められ、首や肩の筋肉は安心して休めます。タオル枕の高さ探しは、その環境づくりそのものなんです。
横向き寝のときの調整
横向き寝のチェックポイントはひとつ。額・鼻・あご・胸の真ん中を結んだラインが、床と平行にまっすぐになっているかです。頭が下がってラインがくの字に折れるなら低すぎ、頭が持ち上がるなら高すぎです。
仰向けに合わせると横向きで少し低い、という場合は、フェイスタオルを1枚、頭側の平らな部分に足して調整してみてください。仰向け6〜7割・横向き3〜4割くらいの睡眠であれば、仰向け基準で作って、横向き時の許容範囲に収まるかを確かめる、という順番がおすすめです。
なお、寝返りは身体にとって必要な動きです。タオル枕は幅を広めに作っておくと、寝返りしても頭が落ちにくくなりますよ。
今ある枕をタオルで調整する方法
枕が少し低いと感じるとき
枕の下にバスタオルを1枚敷くと、枕全体の高さを底上げできます。それでも首の下だけ物足りない場合は、フェイスタオルを細く巻いて枕の手前(首側)に添え、首の下の隙間だけを埋めてみてください。
枕が少し高いと感じるとき
枕の下に何か敷いている場合は、まずそれを外してみてください。それでもまだ高い場合は、枕そのものが合っていない可能性があります。無理にタオルで低くしようとするよりも、低めの枕に替えてからタオルで微調整するほうが近道です。
首の下だけを補いたいとき
枕と首のあいだに隙間がある場合は、フェイスタオルを細く丸めて、その隙間に差し込むように置きます。頭を持ち上げるのではなく、首のカーブを支えることが目的です。先ほどの「高さの見つけ方」のチェック①〜④で、調整後も確認してみてください。
よくある失敗と直し方
タオル枕を試した方からよく伺う「つまずき」と、その直し方をまとめておきます。
失敗①:朝起きたらロールがつぶれている・ほどけている
巻きがゆるいのが原因です。ややきつめに巻き直し、それでもほどけるなら、ロール部分だけをヘアゴムや紐で2か所ほど軽く縛ってみてください。
失敗②:高くしすぎてしまう
「しっかり支えられている感じ」を求めて、つい高くしがちです。でも高すぎる枕は、あごが引けて首が前に押し出される方向に力がかかります。ストレートネック気味の方は特に注意が必要です。迷ったら「少し低いかな?」くらいから始めて、チェック①〜④で微調整してください。
失敗③:朝、頭が枕から外れている
基本的にほとんど皆さん経験済みですが、もしかするとタオルの幅が狭いか、位置が合っていない可能性があります。縦半分ではなく三つ折りにして幅を広げる、敷布団やマットレスの端から少し離して置く、などを試してみてください。
失敗④:数日で「なんか違う」と感じる
実はこれ、失敗ではないことも多いんです。身体の状態は日々変わりますから、「昨日ちょうどよかった高さが今日は少し高い」は普通に起きます。
大事なのは、一気に大きく変えないことです。高さを変えるときは少しずつ。巻きを半回転だけ増やす、フェイスタオルを1枚足す、というくらいの幅で調整してください。首の筋肉は急な変化に敏感なので、一気に変えるとかえって痛みが出ることがあります。
「一度作って終わり」ではなく「毎晩ちょい調整」くらいの気持ちで付き合ってください。タオル枕の強みは、まさにその日の身体に合わせて作り直せることにあります。
タオル枕のデメリットと「合わなかった」ときの考え方
タオル枕の良さをたくさんお話ししてきましたが、正直にデメリットもお伝えしておきます。
デメリット①:毎晩の作り直しに手間がかかる
タオル枕は形が固定されません。毎晩巻き直して、高さを確かめてからでないと使えない。この一手間が面倒に感じる方は、正直に言って少なくありません。
デメリット②:寝返りでずれることがある
固定されていない分、寝返りのたびに形が崩れたり、頭がずれたりすることがあります。幅を広めに作る、ヘアゴムでロールを縛るなどで多少は防げますが、市販の枕のような安定感には及びません。
デメリット③:硬く感じる人がいる
タオルの素材や巻きの強さによっては、頭や首にあたる感触が硬く感じることがあります。きつく巻きすぎると特に硬くなるので、少しゆるめに巻いて試してみてください。
タオル枕で首が痛くなる場合に考えられるのは、主に3つです。
- 高すぎる:あごが引けて、首が前に押し出される方向に力がかかります。ストレートネック気味の方は特に注意が必要です
- 低すぎる:頭が後ろに落ちて、首の反りが強くなりすぎます。首の後ろ側に負荷が集中します
- 巻きがきつすぎる:硬い芯に首を押しつける状態になり、筋肉が緊張したまま眠ることになります
ただし、最初の1回で「合わなかった」からといって、すぐに諦めないでほしいというのが本音です。タオル枕は「完成品」ではなく、調整しながら自分の高さを探す道具です。高さや巻きの強さを変えて、何日かかけて探すプロセスそのものが目的なんです。
タオル枕は「一生使えるスキル」
自分の首に合う高さが分かると、それは知識として残ります。旅行先のホテル、実家の客間、出張先——寝具が変わる場所でも、タオルさえあれば自分の高さを再現できます。枕を持ち歩く必要がなくなるんです。
身体を整えて眠りやすくなってきた方にタオル枕を勧めると、「枕がフィットする」という声が多いのは、首の状態が良くなると適切な高さを身体が自然に受け入れやすくなるからです。
タオル枕は、枕を買うまでの「つなぎ」ではありません。自分に合う高さを知り、どこでも再現できるようになるスキル。身に付けてしまえば、一生使えます。
こんな時は、まず医療機関へ
最後に、大切な注意点です。
- 首や腕に強い痛み・しびれがある
- 朝起きたときの首の痛みがどんどん強くなっている
- 転倒やケガのあとから首の不調が出た
- 手に力が入りにくいなど、痛み以外の症状を伴う
こうした場合は、枕の工夫の前に、まず医療機関で検査を受けてください。首の骨や神経など、医療の領域で対処すべき原因が隠れていることがあります。
よくある質問(FAQ)
Q1. タオルは何枚必要ですか?
バスタオル1枚あれば基本の形は作れます。高さの微調整用にフェイスタオルが1枚あると便利です。体格が大きい方や高さがもう少しほしい方は、バスタオル2枚で試してみてください。
Q2. 毎晩崩れます。どうすればいいですか?
ロール部分の巻きがゆるい可能性があります。少しきつめに巻き直し、ヘアゴムや紐で2か所ほど軽く縛ると崩れにくくなります。また、タオルの幅を広めにしておくと、寝返りで頭が落ちるのを防ぎやすくなります。
Q3. タオル枕で首が痛くなりました。なぜですか?
高すぎる(あごが引ける)、低すぎる(頭が反る)、巻きがきつすぎる(硬くなる)のいずれかが考えられます。高さや巻きの強さを少しずつ変えて、チェック①〜④で確かめ直してみてください。100%誰にでも合う枕は存在しませんが、調整で合う形が見つかることは多いです。
Q4. 今使っている枕の高さをタオルで調整できますか?
できます。枕が低い場合は下にバスタオルを敷いて底上げを。首の下だけ足りない場合はフェイスタオルを細く巻いて首側に添えてみてください。詳しくは記事内の「今ある枕をタオルで調整する方法」をご覧ください。
Q5. いつまでタオル枕を続ければいいですか?
「いつまで」という期限はありません。タオル枕で自分の高さが分かったら、その高さを基準に市販の枕を選ぶこともできますし、タオル枕のまま続けても構いません。身体の状態が変われば合う高さも変わりますので、定期的に見直すことをおすすめします。
まとめ
今日のお話をまとめます。
- 枕選びの失敗が続く理由は、「自分に合う高さ」を知らないまま選んでいるから
- タオル枕は、高さを少しずつ調整でき、洗えて、費用ゼロ。「自分の高さ」を知る道具として最適
- 作り方は「ロールを首側・平らを頭側」。首のカーブを支えるのが枕の本来の仕事
- 高さの目安は、目線やや上・首の下にすき間なし・呼吸すっと・肩の力が抜ける、の4チェック
- 今の枕が「ちょっとだけ合わない」なら、タオルで微調整するだけで変わることもある
- 合わないと感じたら、高さ・巻きの強さを見直す。一気に変えず、少しずつ
- タオルで見つけた高さは、旅先でもどこでも再現できる「一生使えるスキル」になる
強い痛みやしびれがある場合は、まず医療機関での検査を優先してください。
検査で異常なしと言われたのに不調が続く方、そこからが当サイトの領域の出番です。あきらめる必要はありません。
その不調、寝具のせいだけじゃないかもしれません。身体の状態を整えた上で、自分に合った環境を選ぶことが大切です。
執筆・監修:けんぞう先生(整体師/施術歴23年・延べ4万5千人)
※この記事の内容は一般的な情報提供であり、診断や治療の代わりにはなりません。

