[#31]オーダーメイド枕で後悔しないために。値段の相場・お店選び・「測る前の準備」を整体師が解説します
「オーダーメイド枕、ちょっと本気で考えてるんです」
そんな相談を受けることが、ここ数年でずいぶん増えました。既製品の枕で失敗が続いた方ほど、「もう自分専用に作ってもらうのが確実なのでは」と考えるのは自然な流れだと思います。
先にお伝えすると、私はオーダーメイド枕を否定しません。良い選択肢のひとつだと考えています。ただし、施術歴23年・延べ4万5千人の身体と向き合ってきた整体師として、買う前に知っておいてほしいことが、いくつかあるのも正直なところです。
値段の相場、お店選びの見きわめ方、そして意外と誰も教えてくれない「測りに行く前の準備」。今日は、オーダーメイド枕を前向きに検討している方が後悔しないための話を、順番にしていきます。
なお、「オーダーメイド枕ってそもそもどうなの?まだ迷ってる」という段階の方は、先にこちらの記事からどうぞ。
オーダーメイド枕は、何にお金を払うものか
オーダーメイド枕の価格に含まれているものを整理すると、大きく3つです。
①計測:頭の形、首のカーブの深さ、肩幅などを測定し、その人の身体に合わせて高さや形を決める工程。ここが既製品との最大の違いです。
②枕本体:計測結果をもとに、中材の量や配置を調整して仕上げた枕。多くのお店では、部位ごとに中材を出し入れして高さを変えられる構造になっています。
③買った後の調整(アフターケア):ここが見落とされがちで、実はいちばん大事な部分です。使ってみて「少し高い」「横向きが合わない」と感じたときに、お店で中材を調整してもらえるサービス。長期保証を掲げるお店では、この調整を何年にもわたって受けられます。
値段の相場と、その内訳
気になるお金の話を、先にはっきりさせておきましょう。
相場はおおよそ3万円前後です。お店やコースによって幅はありますが、「計測+調整可能な枕+アフターケア」のセットで、2万円台後半〜3万円台に収まるケースが多い、というのが現在の一般的な水準です。
そして、オーダーメイドには大きく2つのタイプがあります。
ハーフオーダー(主流):既存の枕の型をベースに、計測結果に合わせて中材の量や高さを部位ごとに調整するタイプ。現在のオーダーメイド枕の主流はこちらです。
フルオーダー:型から個別に作り込むタイプ。価格はさらに上がりますが、対応しているお店は限られます。
保証については、10年保証、なかには永久保証を掲げるお店まであります。ここで大事なのは、保証の中身です。「壊れたら直す」保証ではなく、「合わなくなったら調整し直せる」保証として使えるかどうか。前の章でお話しした通り、オーダーメイド枕の価値の中心はアフターケアですから、保証年数の長さは「調整というサービスを何年使えるか」として読むのが正解です。
整体師として伝えたい、最大の落とし穴
計測というのは、その瞬間の身体の形を写し取る作業です。首のカーブが浅くなったまま、肩まわりが緊張して持ち上がったままの状態で計測すれば、その崩れた状態にフィットする枕が完成します。
もちろん、それでも「今の身体」には合っているので、寝心地は悪くないかもしれません。でも当サイトでずっとお話ししてきた通り、睡眠は本来、日中に崩れた骨格をリセットするための時間です。崩れた形に合わせた枕は、その崩れを一晩中やさしくキープしてしまう可能性がある。ここが、私が整体師として一番お伝えしたいポイントです。
だから、順番はこうなります。
身体を整える → 整った状態で測る → その枕で「良い状態」を毎晩支える。
計測の技術やお店の善し悪し以前に、計測台に載る日のあなたの身体の状態が、オーダーメイド枕の仕上がりを大きく左右する。3万円を活かすも殺すも、実はここで決まると言っても言いすぎではありません。
測りに行く前の準備
では、具体的にどう準備すればいいか。計測当日に向けて、私がおすすめしたいことを挙げます。
準備①:肩首がいつもよりガチガチの時期を避ける
繁忙期の直後や、寝違えた直後、肩こりがいつも以上につらい週は、計測日として不向きです。「いつもの自分の身体」に近い、落ち着いた時期を選びましょう。
準備②:当日は身体をほぐしてから行く
計測の前に、入浴や軽いストレッチで身体の緊張をゆるめておくと、より本来の骨格に近い状態で測ってもらえます。デスクワーク直後に駆け込むのは、もったいない測り方です。
準備③:普段の寝る格好に近い服装で
厚手のパーカーやフードつきの服は、首や後頭部の計測の妨げになります。首まわりがすっきりした、普段の寝間着に近い感覚の服装がおすすめです。
準備④:自分の睡眠情報を伝えられるようにしておく
仰向けと横向きどちらが多いか、朝起きたときにどこがつらいか、今の枕の不満は何か。この情報は計測データと同じくらい大事です。事前にメモしておくと、カウンセリングの精度が上がります。
お店選びで後悔しないチェックリスト
オーダーメイド枕の満足度は、お店選びでも大きく変わります。契約前に確認してほしいポイントを、チェックリストにまとめます。
□ 再調整の条件(回数・費用・期間)
いちばん大事な確認です。「何年間、何回まで、いくらで」調整してもらえるのか。無料調整の期間と、その後の費用を必ず確認しましょう。
□ 通える距離にあるか
調整はお店に持ち込むのが基本です。片道2時間のお店で買うと、調整のハードルが一気に上がります。「調整に気軽に行ける距離か」は、枕の性能と同じくらい重要です。
□ 誰がどう測ってくれるのか
計測の方法(機器測定か、手測りか、寝た状態で確認するか)と、担当者がどんな知識を持った方かは、お店によって差があります。可能なら、実際に寝た状態で高さを確認・微調整してくれるお店を選びたいところです。
□ 中材の種類と、あとから変えられるか
パイプ、そばがら、わた、フェザーなど、中材の感触は好みが分かれます。部位ごとに中材を選べるか、あとから種類を変更できるかも確認ポイントです。
□ 洗濯・お手入れの方法
丸洗いできるのか、中材の交換費用はいくらか。枕は毎晩使う消耗品でもあるので、清潔を保つ手段は事前に知っておきましょう。
□ 引っ越し・転勤の可能性があるなら、全国展開か
系列店で調整を引き継げるかどうか。転勤族の方は意外と見落とすポイントです。
向いている人・向いていない人
ここまでの話を踏まえて、オーダーメイド枕に向いている人・向いていない人を、正直に整理します。
向いている人
- 既製品の枕で失敗が続いていて、計測と調整にお金を払う価値を感じる人
- 調整に通える距離のお店がある人
- 身体を整えることにも取り組む意思がある人(整えた身体で測れる人)
- 長く使う前提で、枕を「育てる」付き合い方ができる人
向いていない人
- 調整に通うのが現実的に難しい人(距離・時間)
- 枕を頻繁に丸洗いしたい人(中材や構造によっては洗いにくいものもあります)
- まだ「自分に合う高さの感覚」がまったく分からない人。先にタオル枕で自分の首の感覚をつかんでからでも、オーダーメイドは逃げません
- 今まさに肩首の不調がピークで、身体がガチガチの人。整えるのが先です
買った後の付き合い方
最後に、買った後の話です。オーダーメイド枕は「作って終わり」ではありません。
再調整のタイミング
目安として、使い始めて2〜4週間で一度、感触を確かめに行くのがおすすめです。新しい枕に身体が慣れる期間を過ぎてもしっくりこない部分があれば、遠慮なく調整してもらいましょう。無料調整期間があるうちに、細かな違和感をつぶしておくのが賢い使い方です。
「合わなくなった」ときの見分け方
数年使ううちに「前より合わない気がする」と感じることがあります。このとき、原因は2つ考えられます。
- 枕側の変化:中材のへたり・かたより。これは調整や中材交換で対処できます
- 身体側の変化:姿勢の変化、体重の増減、産前産後、加齢による骨格まわりの変化。この場合、枕を再計測・再調整する前に、身体の状態そのものを見直すサインかもしれません
施術の現場では、「オーダーメイドなのに合わなくなった」とご相談いただくケースの少なくない割合で、枕ではなく身体の側が変わっていた、ということを経験してきました。枕は測った日のあなたを覚えていますが、あなたの身体は毎日変わり続けている。この視点を持っておくと、「合わない→即買い替え」ではない、落ち着いた付き合い方ができます。
▶ オーダーメイド枕はアリ?3万円の店舗型と「0円で作れるタオル枕」を整体師が本音比較
▶ タオル枕の作り方。整体師が教える「首に合う高さ」の見つけ方
▶ 枕の寿命は何年?買い替えサインと「実は身体が変わった」の見分け方
▶ 「骨で支える身体」と「筋肉で支える身体」の違い。肩こり・疲れが抜けない根本の話
こんな時は、まず医療機関へ
最後に、大切な注意点です。
- 首や腕に強い痛み・しびれがある
- 朝の首の痛みがどんどん強くなっている
- 転倒やケガのあとから首の不調が出た
- 手に力が入りにくいなど、痛み以外の症状を伴う
こうした場合は、枕の新調を考える前に、まず医療機関で検査を受けてください。枕選びでどうにかする段階ではない原因が隠れていることがあります。
まとめ
今日のお話をまとめます。
- オーダーメイド枕は「計測+枕+買った後の調整」のセットにお金を払うもの。相場は約3万円前後、ハーフオーダーが主流
- 保証年数は「調整というサービスを何年使えるか」として読む
- 最大の落とし穴は「測った日の身体」に合わせた枕になること。身体を整えてから測るのが、3万円を活かす順番
- お店選びは「再調整の条件」「通える距離」を最優先で確認
- 買った後に「合わなくなった」と感じたら、枕の変化か身体の変化かを見分ける
強い痛みやしびれがある場合は、まず医療機関での検査を優先してください。
検査で異常なしと言われたのに不調が続く方、そこからが当サイトの領域の出番です。あきらめる必要はありません。
その不調、寝具のせいだけじゃないかもしれません。身体の状態を整えた上で、自分に合った環境を選ぶことが大切です。
※この記事の内容は一般的な情報提供であり、診断や治療の代わりにはなりません。
執筆・監修:けんぞう先生(整体師/施術歴23年・延べ4万5千人)

