[#54]枕をしても首の下に隙間ができる人へ|「反り首タイプ(頚椎過前弯)」はストレートネックの逆という話
もくじ
みなみけんぞう先生、うちの父なんですけど、この前実家に帰ったときに、リビングでうたた寝してる父を見て気づいたんです。仰向けで寝てて、首の下にすごい隙間ができてて、あごも心なしか上がってるように見えて。
けんぞう先生それ、実はストレートネックとちょうど逆の状態かもしれません。
みなみ逆、ですか?
けんぞう先生はい。首の下に隙間があること自体は、本来は正常なことなんです。ただ、その隙間が大きすぎる場合は、また別の問題が隠れていることがあります。
みなみ隙間があるのが正常……?てっきり隙間がない方がいいのかと思ってました。
けんぞう先生そこ、誤解している方がすごく多いところなんです。お父さんの様子をヒントに、今日は「反り首タイプ」について、一緒に整理していきましょう。
「首の下に隙間がある」のは実は正常なこと
けんぞう先生まず大前提から。仰向けで寝たとき、首の下に隙間があること自体は、異常でも何でもありません。むしろ、首には本来「前弯(ぜんわん)」という、ゆるやかに前に反ったカーブがあるので、隙間ができるのが自然な形なんです。
みなみじゃあ、隙間がないのがストレートネックってことですか。
けんぞう先生その通りです。ストレートネックは、本来あるべき前弯のカーブが消えてしまって、首がまっすぐになった状態。だから隙間がなくなる、もしくはすごく小さくなるんです。
みなみ父の場合は、逆にすごく隙間があるように見えたので……。
けんぞう先生それはおそらく、前弯が本来より強く出すぎている状態かもしれません。個人差の範囲を超えて隙間が大きい場合は、ちょっと注意して見てあげたいところです。
ストレートネックとは逆、「反り首タイプ(頚椎過前弯)」ってどんな状態?
けんぞう先生首の状態は、大きく分けると2つのタイプに偏りやすいんです。一つはストレートネック——前弯が消えて首がまっすぐになるタイプ。もう一つが、今日お話しする「反り首タイプ」——前弯が本来より強く出すぎて、あごが上がり気味になるタイプです。専門的には「頚椎過前弯(けいついかぜんわん)」と呼ばれる状態に近いものですが、ここでは分かりやすく「反り首タイプ」と呼びますね。
みなみ父はまさにそれっぽいです。
けんぞう先生この反り首タイプの方は、仰向けで寝たときにあごが上を向きやすく、首の下の隙間が目立ちます。日常でも、上を向くような姿勢がクセになっていたり、あごが軽く前に出た状態が続いていたりすることが多いです。
みなみ父、ゴルフのとき空を見上げる動作が多いって前に話しましたけど、関係あるんでしょうか。
けんぞう先生直接の原因とは言い切れませんが、日常的に上を向く動作が多い方は、その姿勢がクセとして残りやすいことはあります。
隙間が大きくなる本当の原因は「猫背」——胸椎の後弯過剰
けんぞう先生ここが今日一番お伝えしたいところなんですが、反り首タイプが起きる根本の原因は、実は首そのものではなく、背中にあることが多いんです。
みなみ背中?首の話じゃないんですか?
けんぞう先生背骨って、腰・背中・首でカーブが交互になっていて、全体でバランスを取っているんです。特に背中(胸椎)の丸まり——いわゆる猫背が特にひどい方は、そのバランスを取り戻そうとして、首の骨が過剰に前弯するかたちで補正するんです。つまり、首の骨は胸椎の丸まりを補正している状態、と言えます。
みなみ猫背をかばうために、首が反っちゃうってことですか。
けんぞう先生イメージとしてはそれに近いです。背中が丸まった分、頭の位置を保とうとして、首から上でバランスを取り直す。その結果、首の前弯が強く出て、あごが上がりやすくなるんです。お父さんの場合も、長年のデスクワークや車の運転で、背中が丸まる時間が長かったのかもしれません。
みなみじゃあ、首だけ見ていても仕方ないんですね。
けんぞう先生そうなんです。反り首タイプの方に「首だけ」の対策をしても、根っこの猫背がそのままだと、なかなか変わりにくいんですよ。
自己チェック:あなたの首はどのタイプ?
けんぞう先生簡単なチェックをしてみましょう。お父さんや、ご自身に当てはめて確認してみてください。
けんぞう先生【反り首タイプのサイン】
- 仰向けで寝ると、首の下の隙間が大きく感じる
- あごが上を向きやすい、または軽く前に出ている
- 猫背を自覚している、または周りから指摘されたことがある
- 低めの枕だと落ち着かず、逆に高めの枕の方がしっくりくることがある
- 上を向く動作が日常的に多い
みなみ父、ほとんど当てはまるかもしれません。
けんぞう先生複数当てはまる方は、反り首タイプの傾向が強いと考えていいと思います。ちなみに逆のストレートネックタイプは、首の下の隙間がほぼない、高い枕やダンゴムシ寝が習慣になっている、という傾向があります。気になる方は、以前お話ししたストレートネックの記事も参考にしてみてください。
「あごを引く」が逆効果になることもある理由
みなみ姿勢がいいと「あごを引きましょう」ってよく聞くんですけど、それはやった方がいいですか?
けんぞう先生実はそこ、注意が必要なポイントなんです。仰向けで寝たときの枕の高さの正しい目安は、「あごを引く」ことではなく、「あごが床と並行〜やや上向き」になる状態なんですよ。
みなみあご引くのが正解だと思ってました。
けんぞう先生すごく多い誤解なんです。特に反り首タイプの方が無理に「あごを引く」ことを目指すと、本来ある前弯のカーブを不自然に潰すことになって、かえって首や肩に負担がかかることがあります。
みなみじゃあ、無理に引かなくていいんですね。
けんぞう先生はい。目指すのは「あごを引く」ではなく、仰向けで寝たときに自然な角度に収まっているかどうかです。ここを勘違いしたまま枕を選ぶと、かえって合わないものを選んでしまうことがあるので、気をつけてほしいところです。
タオル枕は"応急処置"。隙間を埋めて負担を減らす使い方

けんぞう先生反り首タイプの方の場合、まず現実的にできる対策としてはタオル枕があります。首の下にできる隙間に、丸めたタオルを入れて埋めてあげる方法です。
みなみそれで解決ですか?
けんぞう先生いえ、ここからが大事なところなんです。隙間を埋めるだけだと、あごが上がりすぎてしまうことがあるんですよ。特に後頭部の形状によっては、注意が必要です。
みなみ後頭部の形状、ですか?
けんぞう先生実は僕自身、絶壁タイプ(後頭部が平らなタイプ)なんですが、これがまさにあごが上がりやすい条件なんです。後頭部が平らだと、首の下だけタオルで埋めると、首が反りすぎて、あごが上がり頭頂部が下がった角度になりやすいんですよ。
みなみ先生も同じタイプなんですね。父もどちらかというと後頭部が平らな方かもしれません。
けんぞう先生そういう方は、首の下だけでなく、後頭部の下にも少し厚みを持たせたタオルを敷いてあげると、首が反りすぎない角度に調整しやすくなります。首の隙間と後頭部、両方セットで見てあげる、というイメージですね。
みなみ頭頂部が下がると、よくないんですか?
けんぞう先生極端に首が反った状態が一晩続くのは、あまりおすすめできません。これは、むくみと同じ理屈なんです。同じ姿勢が続くことで水分が滞留しやすくなるように、頭頂部が下がった状態が続くと、重力に逆らう姿勢が長時間続くことになって、その部分に体液が滞留しやすくなる可能性があります。だから、反りすぎない、自然な角度に収めてあげることが大切なんです。
みなみ隙間を埋めればいいだけじゃないんですね。奥が深い……。
けんぞう先生タオル枕は、あくまで隙間を埋めて負担を減らすための応急処置。頭の角度まで含めて微調整してあげるのがポイントです。
根っこの対策は、猫背そのものを見直すこと
けんぞう先生ただ、ここまでお話ししてきた通り、反り首タイプの根っこにあるのは猫背——背中の丸まりです。タオル枕はあくまで、寝ている間の負担を減らすための工夫でしかありません。
みなみじゃあ、本当に変えていくべきは背中の方なんですね。
けんぞう先生その通りです。「その不調、寝具のせいだけじゃないかもしれません」というのが、このサイトで一貫してお伝えしていることなんですが、反り首タイプもまさにそれなんです。寝具は環境を整える工夫であって、根っこにある姿勢の話は、また別に向き合う必要があります。猫背と身体の支え方については、以前詳しくお話しした記事があるので、お父さんにも、そしてみなみさん自身にも、ぜひ読んでみてほしいです。
みなみ首だけ見ていちゃダメなんですね、勉強になりました。今度父にも伝えてみます。
あわせて読みたい
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まとめ
- 首の下に隙間があること自体は、本来正常なこと
- 隙間が大きすぎる「反り首タイプ(頚椎過前弯)」は、ストレートネックとは逆に前弯が過剰になっている状態
- 根本の原因は首そのものではなく、猫背(背中の丸まり)であることが多い。首の骨は胸椎の丸まりを補正している状態
- 仰向けで寝たときに「あごを引く」を目指すのは誤り。正しい目安は「あごが床と並行〜やや上向き」
- タオル枕は隙間を埋める応急処置。後頭部の形状によっては後頭部側にも厚みを持たせ、首が反りすぎない角度に調整する
- 根っこの対策は、猫背そのものを見直すこと
強い痛みやしびれがある場合は、まず医療機関を受診してください。検査で異常なしと言われたのに不調が続く方、そこからが当サイトの領域の出番です。あきらめる必要はありません。その不調、寝具のせいだけじゃないかもしれません。身体の状態を整えた上で、自分に合った環境を選ぶことが大切です。
※この記事の内容は一般的な情報提供であり、診断や治療の代わりにはなりません。
執筆・監修:けんぞう先生(整体師/施術歴13年・延べ2万7千人以上)
よくある質問
Q. タオルの厚みはどのくらいが目安ですか?
個人差が大きいので、一概には言えません。低いところから少しずつ厚みを足していき、あごが上がりすぎず、自然な角度に落ち着くところを探ってみてください。
Q. 市販の枕でも反り首タイプに合うものはありますか?
使う人によって合う・合わないが分かれるので、一律にはおすすめしにくいところです。まずはタオル枕で自分に合う高さと厚みの感覚をつかんでから、それを基準に探すのが現実的です。
Q. 父のように60代でも、今から対策する意味はありますか?
年齢に関わらず、寝ている間の負担を減らす工夫をする意味はあると考えています。ただ、長年のクセで固定された姿勢は、すぐには変わりにくいこともあるので、焦らず少しずつ向き合っていくのがおすすめです。
Q. 猫背を見直すには、何から始めればいいですか?
猫背と身体の支え方については、当サイトの別の記事で詳しくお話ししています。まずはそちらを読んで、全体像をつかんでいただくのがおすすめです。

