むくみ・冷え

[#47]夜中に足がつるのはなぜ?ふくらはぎのこむら返りが起きる本当の原因

夜中にベッドの上でふくらはぎをおさえて痛がるみなみのイラスト

文=けんぞう(整体師・美容整体師/施術歴23年・延べ4万5千人)

こんにちは、整体師のけんぞうです。夜中に「ビキッ」とふくらはぎがつって、痛みで目が覚めてしまう。そんな経験がある方は、意外と多いのではないでしょうか。今日は、このつらい「夜中の足つり・こむら返り」がなぜ起きるのか、身体の土台から一緒に整理していきます。
みなみ
みなみけんぞう先生、聞いてください。昨日の夜中、ふくらはぎが「ビキッ」ってつって、痛くて飛び起きたんです…! 授乳中に赤ちゃんを抱っこして、そのまま寝落ちしたあとだったんですけど、これって私だけですかね。
けんぞう先生
けんぞう先生それはつらかったですね。実はそのシチュエーション、こむら返りが起きやすい条件がいくつも重なっているんですよ。今日はその正体を一緒に紐解いていきましょうか。
みなみ
みなみお願いします…! 「水分不足」とか「ミネラル不足」ってよく聞きますけど、それだけが原因なんでしょうか。
けんぞう先生
けんぞう先生よく聞かれる質問ですが、実はそこが今日いちばんお伝えしたいポイントなんです。ミネラル不足は「一因」ではあっても、「唯一の原因」ではないことが多いんですよ。

こむら返りの正体って、そもそも何なのか

けんぞう先生
けんぞう先生こむら返りというのは、ふくらはぎの筋肉が自分の意思とは関係なく、ギュッと強く縮んだまま緩まなくなってしまう状態のことです。筋肉には「縮め」「緩め」という命令を伝える神経のスイッチがあるのですが、そのやり取りがうまくいかなくなっているイメージですね。
みなみ
みなみ命令のスイッチが、うまく切り替わらなくなっちゃう感じですか。
けんぞう先生
けんぞう先生そうですね。本来、筋肉は「縮む」と「緩む」を交互に繰り返しながら動いています。でも、水分・血流・筋肉の疲労具合など、いくつかの条件が重なると、この切り替えがスムーズにいかなくなって、縮んだまま固まってしまう。それが、あの「ビキッ」の正体です。
みなみ
みなみ一度つると、しばらく痛みが残るのもそれが理由なんですか。
けんぞう先生
けんぞう先生そうなんです。強く縮んだ状態が続くと、硬くなった筋肉が周りの血管を圧迫して、血の巡りが一時的に悪くなります。つった直後にゆっくり伸ばしてあげると、筋肉がほどけて血管への圧迫もゆるみ、巡りも戻りやすくなりますよ。

こむら返りが起きやすい人の特徴

けんぞう先生
けんぞう先生ここで少し、こむら返りが起きやすい人によく見られる傾向を整理しておきますね。当てはまる項目が多いほど、条件が重なりやすい状態と考えてください。
みなみ
みなみ抱っこ・水分不足・冷え性・座りっぱなし…私、全部当てはまるかもしれません。
けんぞう先生
けんぞう先生授乳期はこの4つが重なりやすい時期でもあるので、決してみなみさんだけの特別な状態ではありませんよ。だからこそ、原因を一つに絞らず、複数の角度から整えていくことが大切なんです。
みなみ
みなみ逆に言うと、この4つのうち一つでも整えられれば、少しは変わってくるんでしょうか。
けんぞう先生
けんぞう先生はい、その通りです。4つ全部を完璧にする必要はなくて、まず一つ、取り組みやすいところから整えていく。それだけでも、身体にとっては巡りをつくる助けになりますよ。

なぜ「夜」「寝ている時」に起きやすいのか

みなみ
みなみ言われてみれば、日中につったことってほとんどないです。なんで夜、しかも寝てる時に起きやすいんでしょう。
けんぞう先生
けんぞう先生ここにはいくつか理由が重なっています。まず一つ目は、寝ている間は体温がゆるやかに下がり、血流も日中より落ち着いた状態になること。血の巡りがゆったりする分、筋肉に届く水分やミネラルの供給も、活動時より滞りやすい状態になるんです。
みなみ
みなみ寝てる時って、血流も休んでる感じなんですね。
けんぞう先生
けんぞう先生完全に止まるわけではなく、活動時よりゆったりしたペースになる、というイメージです。二つ目は、寝返りや伸びをした瞬間に、ふくらはぎの筋肉が急に伸ばされる刺激。この急な伸展が、こむら返りの引き金になりやすいんですよ。
みなみ
みなみあ、そういえば、脚をピンと伸ばした瞬間につったかもしれません…!
けんぞう先生
けんぞう先生そうなんです。日中の活動でふくらはぎの筋肉がすでに疲れている状態だと、この急な伸展刺激にうまく対応できず、つりやすくなります。

ミネラル不足だけじゃない、複合的な原因を整理する

けんぞう先生
けんぞう先生ここからは、夜のこむら返りに関わる要因を、一つずつ整理していきますね。

一つ目は「水分バランスの乱れ」。身体の水分が不足すると、血液やリンパの流れが滞りやすくなり、筋肉に必要な栄養が届きにくくなります。逆に、寝る直前に水分を摂りすぎるのも、身体のリズムを崩す一因になり得ます。

みなみ
みなみ水分は「摂ればいい」ってものでもないんですね。
けんぞう先生
けんぞう先生そうなんです。以前お話しした「朝たっぷり、夜は控えめ」の水分リズムが、ここにもつながってきます。

二つ目は「冷え」。ふくらはぎが冷えていると血流が滞りやすく、筋肉も硬くなりやすい状態になります。

三つ目は「日中の筋肉の疲労」。抱っこや立ち仕事、長時間の同じ姿勢などで、ふくらはぎの筋肉が酷使されていると、夜間の伸展刺激にうまく対応できず、つりやすくなります。

みなみ
みなみ抱っこ、まさに毎日ですね…。

四つ目は「血流の滞り」。ふくらはぎは「第二の心臓」とも呼ばれていて、歩く・立つといった動きでふくらはぎの筋肉が伸び縮みすることで、脚に溜まった血液を心臓へ押し戻すポンプの役割を担っています。この動きが少ない状態が続くと、脚全体の巡りが滞りやすくなるんです。

みなみ
みなみ座りっぱなしとか、抱っこで動けない時間が長いとか、そういうのも関係してくるんですね。
けんぞう先生
けんぞう先生そうなんです。歩く時間が極端に短い日が続くと、このポンプ機能が働く回数自体が減ってしまうので、脚の巡りが滞りやすくなります。デスクワークの方や、赤ちゃんのお世話で長時間同じ姿勢になりやすい方は、特にこの要因が関わりやすいですね。
けんぞう先生
けんぞう先生そしてミネラルの不足は、こうした複数の要因が重なった上での「一因」として関わってくることが多い。ミネラルだけを補えば解決する、というものではないことが多いんですよ。
みなみ
みなみ「これさえ摂れば大丈夫」みたいな単純な話じゃないんですね。
けんぞう先生
けんぞう先生はい。水分・冷え・筋肉疲労・血流の巡り、この土台が整っていて初めて、ミネラルも本来の働きをしやすくなる、というイメージを持ってもらえるといいかなと思います。

みなみさんのケースを整理してみると

けんぞう先生
けんぞう先生昨日の夜の状況、もう少し詳しく教えてもらえますか。
みなみ
みなみ夕方から赤ちゃんの抱っこがずっと続いていて、水分もあまり摂れてなくて。授乳しながら、そのまま寝落ちしちゃったんです。
けんぞう先生
けんぞう先生なるほど、それだとかなり条件が重なっていますね。抱っこでふくらはぎの筋肉が疲労していたこと、日中の水分が不足気味だったこと、そして寝落ちする体勢自体が、ふくらはぎを圧迫しやすい姿勢だった可能性もあります。
みなみ
みなみ一つじゃなくて、いくつも重なってたんですね…。
けんぞう先生
けんぞう先生そうなんです。授乳期は、抱っこでの筋肉疲労、水分不足になりやすい生活リズム、寝不足による身体の緊張など、こむら返りが起きやすい条件が揃いやすい時期でもあります。ご自身を責める必要はまったくありませんよ。
みなみ
みなみちょっと安心しました。何か特別な異常があるわけじゃないんですね。
けんぞう先生
けんぞう先生はい。日々の生活の中で、ふくらはぎに負担がかかる条件が重なった結果として起きている、と捉えてもらうのが自然です。特別な体質というより、今の生活リズムの中で起きやすくなっている、という見方ですね。逆に言えば、生活リズムを少しずつ整えていくことで、起きにくい状態をつくっていけるということでもあります。

今夜からできる、身体の土台を整える対策

けんぞう先生
けんぞう先生ここからは、今夜から取り入れられる対策をお伝えしますね。

一つ目は、日中の水分リズムを整えること。朝起きてからしっかり水分を摂り、日中こまめに補給して、夜は控えめにする。この流れができていると、就寝中の血の巡りをつくる土台になります。

二つ目は、就寝前にふくらはぎを軽く伸ばしておくこと。壁に手をついて片脚を後ろに引き、ふくらはぎをゆっくり伸ばすストレッチを、寝る前に10秒ほど行うだけでも、筋肉の緊張がゆるみやすくなります。

みなみ
みなみそれくらいなら今夜からできそうです。
けんぞう先生
けんぞう先生抱っこしながらでも、階段やちょっとした段差を使って、膝を伸ばしたままかかとを下げてあげることで、アキレス腱やふくらはぎを伸ばすことができますよ。片足ずつやってみるといいですね。
段差を使ったふくらはぎストレッチの正しい姿勢と間違った姿勢の比較
腰が引けると伸びません。頭を体の真上に、体重を前足にしっかり乗せるのがポイントです
みなみ
みなみそれなら赤ちゃんを抱っこしたままでもできそうです。段差に足の指先だけ乗せて、かかとをゆっくり下げる感じですか。
けんぞう先生
けんぞう先生そうです。反動をつけず、じんわり伸びているのを感じるところで数秒キープするだけで十分です。手すりや壁に手を添えて、バランスを崩さないようにしてくださいね。

三つ目は、冷え対策。靴下や薄手のレッグウォーマーでふくらはぎを軽く温めておくと、血流が滞りにくい状態をつくりやすくなります。ただし、以前お伝えした通り、お風呂上がりから就寝までの間に着圧ソックスを締めて寝るのは、流れを止めてしまうのでおすすめしていません。あくまで「温める」ことが目的です。

みなみ
みなみ着圧とはまた別なんですね、覚えておきます。

四つ目は、日中の姿勢の見直し。長時間座りっぱなしだったり、抱っこでずっと同じ姿勢が続いたりすると、ふくらはぎのポンプ機能が働きにくくなります。合間に軽く足首を回したり、つま先を上下に動かしたりするだけでも、巡りをつくる助けになりますよ。

みなみ
みなみ抱っこしながらでもできそうです。
けんぞう先生
けんぞう先生ええ、赤ちゃんを抱っこした状態でも、かかとを上げ下げするだけで、ふくらはぎの筋肉がポンプのように動いてくれます。授乳中の座った姿勢でも、足首をくるくる回すだけで十分ですよ。ながらでできる範囲で、こまめに取り入れてみてください。

「身体の土台」からみたこむら返り

みなみ
みなみここまで聞いていて思ったんですけど、結局、身体全体の巡りの話につながるんですね。
けんぞう先生
けんぞう先生そうなんです。姿勢が崩れて背中が丸まっていたり、長時間同じ体勢が続いていたりすると、脚だけでなく全身の巡りが滞りやすくなります。ふくらはぎのこむら返りも、脚だけを見て終わらせるのではなく、水分・冷え・筋肉疲労・血流という土台全体から整えていくことで、起きにくい状態に近づいていきます。
みなみ
みなみ一つだけ対策すればいい、っていうものじゃないんですね。
けんぞう先生
けんぞう先生はい。今日お伝えした4つの対策も、どれか一つを完璧にやろうとするより、できる範囲で少しずつ続けていくほうが、身体にとっては土台をつくりやすいんです。無理なく、今夜からできそうなことから始めてみてください。

よくある質問

Q. マグネシウムのサプリを飲めば起きにくくなりますか?

ミネラルは巡りに関わる要素の一つではありますが、水分・冷え・筋肉疲労・血流という他の要因が整っていないと、サプリだけでは土台が整いにくいことが多いです。まずは生活リズム全体を見直すことをおすすめします。

Q. 妊娠中によく足がつっていたのですが、産後も続くのはなぜですか?

妊娠中は身体の水分バランスや血流が大きく変化しやすい時期ですが、産後もホルモンバランスの変化や授乳による水分の消費、抱っこでの筋肉疲労など、つりやすい条件が形を変えて続くことがあります。焦らず一つずつ整えていきましょう。

Q. ふくらはぎ以外の場所がつることもありますか?

足の裏や太もも、足の指などがつるケースもあります。基本的な考え方は同じですが、これらの部位ならではの原因もあります。たとえば、歩くときに指先に力を入れるくせがある人。実はご本人に自覚がないケースが結構多いんです。それから、ヒールの高い靴。ピンヒールのようなタイプは、バランスを取るために余計な筋肉を使いますし、高さがあるほど足先や指の付け根に体重が乗るので、踏ん張る力が入りやすくなります。その結果、足裏や指の筋肉が硬くなりやすく、つりやすさにつながっていきます。

Q. むくみと足つりって関係があるんですか?

どちらも「巡りの滞り」という土台の部分でつながっていることが多いです。筋肉そのものが巡っているわけではなく、本来しなやかで伸縮性のある状態が正常です。それが硬く縮んだままになると、周りの血管やリンパ管を圧迫してしまい、その結果として浮腫や冷え、ミネラルの巡りの悪化が起きる、という順番なんですね。むくみは余分な水分や老廃物が滞っている状態、足つりは筋肉が硬く縮んだままになって収縮の切り替えがうまくいかない状態、と現れ方は違いますが、根っこにある「巡りにくさ」は共通している場合が多いです。むくみが気になる方は、水分リズムを整える記事もあわせて読んでみてください。

Q. こむら返りが起きた瞬間はどうすればいいですか?

つった瞬間は、無理に力を入れず、つま先をゆっくり自分の方へ引き寄せるようにして、ふくらはぎを伸ばしてあげてください。急に強く伸ばすと逆に負担がかかることもあるので、痛みを感じない範囲でゆっくり行うのがポイントです。落ち着いたら、軽くさすってあげるのもおすすめです。

まとめ

強い痛みが続く場合や、片脚だけに急なむくみが出ている場合は、自己判断せず医療機関を受診してください。糖尿病や血管の病気、薬の副作用など、医療での検査が必要なケースもあります。

そして、検査で特に異常なしと言われたのに不調が続く方、そこからが当サイトの領域の出番です。あきらめる必要はありません。水分・冷え・血流・姿勢、身体の土台を一つずつ整えていくことが、次のこむら返りを起きにくくする近道になります。

その不調、寝具のせいだけじゃないかもしれません。身体の状態を整えた上で、自分に合った環境を選ぶことが大切です。


※この記事の内容は一般的な情報提供であり、診断や治療の代わりにはなりません。

執筆・監修:けんぞう先生(整体師/施術歴23年・延べ4万5千人)