睡眠・自律神経
#42 寝る前スマホがやめられない人へ。やめずに眠りの質を守る夜の過ごし方
文=けんぞう(美容整体師・小顔矯正士/施術歴23年・延べ4万5千人)
こんにちは、整体師のけんぞうです。
夜、子どもたちがようやく寝静まって。洗い物も片づけて、やっと訪れたひとりの時間。布団に入って、スマホを開く。気づいたら30分、いや1時間。「早く寝なきゃ」と思いながら、指は止まらない。
この話、私は「やめましょう」から始めるつもりはありません。
寝る前のスマホについては、もう耳にタコができるくらい「ブルーライトが」と言われてきましたよね。でも、施術の現場で23年間、延べ4万5千人の方の身体と睡眠に向き合ってきて思うのは、光の話だけでは説明がつかないことが多すぎる、ということです。
ナイトモードにしても、ブルーライトカットの眼鏡をかけても、寝つきも翌朝の疲れも変わらない。そういう方に、私は何度も出会ってきました。
今日は「やめる・減らす」の話は一切しません。スマホを持ったままでもできる、夜の過ごし方の変え方をお伝えします。
お時間のない方へ・今日の結論
- 寝る前スマホの問題は、光だけではありません。頭と身体が活動モードのままなのが本丸です
- やめなくて大丈夫です。変えるのは3つだけ。終わりの合図を決める/置いたあと1分だけ胸を開く/布団の中で長く吐く
- 避けたい体勢は、うつ伏せといつも同じ側の横向きの2つです
寝る前スマホがやめられないのは、意志が弱いからではありません
みなみ先生、正直に白状します。寝る前のスマホ、やめられないんです。良くないって分かってるのに。
けんぞう先生みなみさん、それ、自分を責める話じゃないですよ。日中は5歳の息子さんと2歳の娘さんの相手をしながら、10か月の下のお子さんの授乳もあって。そのあいだに在宅のお仕事も抱えている。自分のためだけに使える時間って、1日のうちどこにありますか。
けんぞう先生ですよね。そこを取り上げてしまったら、みなみさんには自由な時間が残らない。だから私は「やめましょう」とは言いません。
みなみちょっとホッとしました。てっきり怒られると思って。
けんぞう先生怒りませんよ。むしろ、寝る前のスマホって、多くの方にとって休息のスイッチでもあるんです。今日一日、誰かのために動きっぱなしだった人が、やっと自分の意思だけで何かを選べる時間。それを取り上げる提案には、あまり意味がないと思っています。
みなみでも、翌朝の疲れの取れなさは、やっぱりスマホのせいですよね。
けんぞう先生そこなんです。「スマホのせい」で終わらせると、対策が「やめる」しかなくなってしまう。でも実際には、やめなくても変えられる部分が、けっこうあるんですよ。
この記事でお伝えすること
寝る前のスマホで眠りが浅くなるとき、身体の中では複数のことが同時に起きています。
- 画面の光の影響
- 頭が働き続けてしまうこと
- 身体が休息モードに切り替わりきらないこと
- 見ているときの体勢
「ブルーライトが」と語られているのは、このうちのひとつだけです。だから、光の対策だけでは手ごたえがない方がいる。今日は残りの部分を、順番に見ていきます。
「ブルーライトが悪い」は、半分正解で半分は説明不足です
みなみそもそもブルーライトって、どう良くないんですか。なんとなくは知ってるんですけど。
けんぞう先生ざっくり言うと、目に強い光が入ると、脳が「まだ昼だ」と判断しやすくなります。人の身体には、暗くなってくると眠る準備に入るホルモンが出る仕組みがあるんですが、光を浴びているとその準備がゆっくりになりやすい。だから「寝る前の強い光は控えめに」と言われるわけです。
みなみじゃあ、ナイトモードにすればいいってことですか。
けんぞう先生理屈のうえでは、光を弱めることに意味はあります。実際、やって損はありません。ただ、ここからが本題です。ナイトモードにしても、ブルーライトカットの眼鏡をかけても、「寝つきも眠りの深さも変わりません」とおっしゃる方が、本当にたくさんいらっしゃるんですよ。
みなみ……私もそれかもしれません。眼鏡、買ったんですけど。
けんぞう先生もし原因が光だけなら、光を減らせば何かしら変化があってもいいはずですよね。でも変わらない。ということは、光以外にも身体に効いている要素があるということです。
光の対策は「入口」にしか効きません
もう少し補足させてください。
光の話は、あくまで「眠りに入る準備」の部分です。眠りのスイッチが入るまでの、入口のところ。
でも私たちが本当に気にしたいのは、そこから先です。布団に入ってからの6時間、7時間を、身体と頭がどんな状態で過ごしているか。ここは光だけではどうにもなりません。
そして、その状態を決めているのが、寝る直前の30分の過ごし方なんです。
眠れない本当の理由は、頭が働き続けているからかもしれません
けんぞう先生みなみさん、寝る前ってスマホで何を見ていることが多いですか。
みなみSNSが多いです。あとは、明日の予定を確認したり、買い物リストを見たり。
けんぞう先生そこなんですよ。いまおっしゃった中に、頭を休ませる要素がひとつもありません。
けんぞう先生SNSを見ると、無意識に人と比べます。同じくらいの年齢の人が素敵な暮らしをしている投稿を見れば、少し胸がざわつくこともある。買い物リストを開けば「あれも買わなきゃ」と頭が動き出す。明日の予定を見れば、明日の段取りが始まります。
けんぞう先生はい。身体は横になっていても、頭は仕事中なんです。この状態で目を閉じても、眠りのスイッチはなかなか入りません。
「情報の重さ」は人によって違います
けんぞう先生一概には言えません。ただ、判断の目安はあります。見終わったあとに、何か考えることが増えているかどうかです。
けんぞう先生たとえば、明日やることを思い出させるもの。誰かと自分を比べさせるもの。続きが気になって仕方ないもの。感情が大きく動くもの。これらは、頭のスイッチを入れる側です。
けんぞう先生多いですね。夜のニュースやSNSのやりとりで気持ちが動いたあと、布団に入っても頭の中でその話が続いてしまう。それは意志が弱いからではなくて、脳が処理を終えていないだけなんです。
けんぞう先生答えを出す必要がないもの、と考えてみてください。もう結末を知っている作品を流す。景色の動画を眺める。読み返しても新しい発見のない、好きな雑誌をめくる。「情報を取りに行く」から「ただ眺める」に切り替えると、頭の温度は下がりやすくなります。
自律神経の「切り替え」が、眠りの質を決めています
みなみ頭の話は分かりました。身体のほうは、どうなんですか。
けんぞう先生ここは整体師の本業なので、しっかりお話しさせてください。今日いちばんお伝えしたいのは、自律神経の話です。
自律神経は、昼のモードと夜のモードの切り替え役です
みなみ自律神経って、言葉はよく聞くんですけど、正直よく分かっていません。
けんぞう先生ものすごく大づかみに言うと、自分では動かせない身体の働きを、勝手に調整してくれている神経です。心臓を動かす、体温を保つ、食べたものを消化する。全部、みなみさんが命令しなくても進んでいますよね。
けんぞう先生この神経には2つのモードがあります。いつでも動ける活動モードと、筋肉がゆるんで消化が進む休息モード。本来は日中が活動モード、夜になるにつれて休息モードへ、と自然に切り替わっていきます。
みなみその切り替えが、うまくいかないことがあるんですか。
けんぞう先生かなり多いです。自律神経そのものや、食事との関わりについては別の記事でまとめているので、今日は「寝る前の切り替え」に絞ってお話ししますね。
眠っていても、活動モードのままなら休まりません
けんぞう先生ここが大事なところです。眠っている時間の長さと、身体が休めている度合いは、イコールではありません。
けんぞう先生活動モードのまま横になっていると、筋肉は力を抜ききれていません。歯を食いしばっていたり、肩に力が入ったままだったり。首肩のこりに悩んでいる方が、頭痛や食いしばりも一緒に抱えているケースには、現場で本当によく出会います。
みなみ……朝、あごが疲れてることあります。7時間寝ても休めてないってことが起きるんですね。
けんぞう先生起きます。だから私は、睡眠は時間だけで語れないと思っているんです。
育児中は、そもそも切り替わりにくい状態にあります
けんぞう先生それともうひとつ、みなみさんに関わる大事な話があります。
けんぞう先生下のお子さん、まだ夜中に起きますよね。ということは、みなみさんの身体は毎晩「いつでも起きられる態勢」で眠っているはずなんです。
みなみ……たしかに、泣き声には一発で起きます。夫はまったく起きないのに。
けんぞう先生それ、すごいことなんですよ。ただ、身体の側から見ると、完全に休息モードに入りきらないよう、常に少し警戒を残している状態とも言えます。
みなみじゃあ、私が休めていないのは当たり前ってことですか。
けんぞう先生はい。そして、これはみなみさんの努力不足ではまったくありません。お子さんを守るために身体がやっていることです。
けんぞう先生だからこそ、寝る前に自分で切り替えのきっかけを作ってあげる意味が大きいんです。放っておいたら切り替わりにくい状況にいるわけですから。
丸まった姿勢では、深く息が入りません
けんぞう先生そして、この切り替えは呼吸と姿勢の影響を強く受けます。試しに、背中を丸めて、肩を前に入れた姿勢をとってみてください。その状態で、思いきり深呼吸できますか。
けんぞう先生ですよね。背中が丸くなると、肋骨まわりが縮こまって、胸がふくらむスペースが狭くなります。だから息が浅くなる。浅い呼吸は、身体にとっては活動しているときの呼吸に近いんです。
けんぞう先生はい。しかも、この切り替えを担う神経は、背骨の背中側の近くを通っています。背中が丸まって筋肉が硬いままだと、切り替えがうまく起こりにくい状態になると私は考えています。
呼吸だけは、自分で操作できます
みなみでも、自律神経って自分では動かせないんですよね。じゃあ、どうしようもなくないですか。
けんぞう先生みなみさん、すごくいい質問です。実はひとつだけ、例外があるんですよ。
けんぞう先生呼吸です。心拍は自分の意思では止められません。汗も、消化も、命令できない。でも呼吸だけは、速くもできるし、ゆっくりにもできる。止めることさえできますよね。
けんぞう先生自律神経が自動で動かしている領域の中で、呼吸は唯一、自分の意思がハンドルを握れる場所なんです。だから、寝る前に呼吸を整えることには意味があります。休息モードへの入口として、私たちが直接さわれる数少ないスイッチなんですよ。
みなみ深呼吸しなさい、ってそういうことだったんですね。
けんぞう先生そうなんです。「なんとなく落ち着くから」ではなくて、ちゃんと理由があります。あとで具体的なやり方をお伝えしますね。
首の角度の話は、別の記事にまとめています
スマホを見るときの首の角度そのものについては、この記事では深追いしません。持ち方や目線の高さの話は、それだけで1本になるくらい大事なテーマなので、別の記事でくわしくお伝えしています。
また、「寝ているあいだに首の自然なカーブが失われていく」という話も、枕の高さと合わせて別記事で扱っています。今日の話とセットで読んでいただくと、つながりが見えてくると思います。
避けたい体勢は、2つだけです
みなみ白状すると、私は座って見てないです。もう布団に寝転がってます。
けんぞう先生正直でいいですね。寝転がること自体はいいんです。ただ、体勢によって身体に残るものがかなり変わります。避けたいものだけお伝えしますね。
けんぞう先生ひとつめはうつ伏せです。画面を見ようとすると、首を後ろに反らせて、さらに横にひねることになります。肘で上半身を持ち上げるので腰も反ります。そのまま寝落ちすると、呼吸が浅くなりやすかったり、下あごに片側から圧がかかり続けたりもします。
けんぞう先生ふたつめはいつも同じ側の横向きです。片肘をつくと、下側の肩が体重で押しつぶされて、前に入り込む形になります。首も横に曲がったまま。しかも「毎晩必ず左が下」というように、片側だけになっている方がとても多いんです。
みなみ……私、完全に左です。向きなんて意識したことなかったです。
けんぞう先生施術の現場で見ていると、いつも同じ側を下にしている方には、下側の肩が前に入り込んでいたり、その周りが硬くなっていたり、首が片側に傾いている傾向が見られます。毎晩1時間、同じ方向にねじって固めれば、身体がその形を覚えていくのは自然なことですよね。
けんぞう先生消去法で仰向けです。腕が疲れてスマホを落としてしまうので、肘の下にクッションを入れて支えてあげてください。それだけでだいぶ長持ちします。
けんぞう先生みなさんおっしゃいます。そもそも私は、眠るときの基本の姿勢は仰向けだと考えています。横向きは、状況によって選ぶ例外の姿勢です。そのあたりは別の記事でくわしく書いているので、気になる方はどうぞ。
やめなくていい。「終わり方」を3つだけ変えましょう
みなみじゃあ、私はどうすればいいですか。やめるのは、正直むずかしいです。
けんぞう先生やめなくていいですよ。提案は3つだけです。時間を減らす話は、ひとつも入っていません。
1. 終わりの合図を、時間ではなく行動で決める
けんぞう先生よく「寝る1時間前にやめましょう」と言われますよね。あれ、みなみさんは守れそうですか。
みなみ無理です。1時間前って、まだ下の子が起きてることもあります。
けんぞう先生ですよね。だから時間で区切るのはおすすめしません。代わりに、行動で区切るんです。
けんぞう先生たとえば「歯を磨いたら、そこからは情報を取りに行くものは見ない」。あるいは「充電器に挿したら終わり」。枕元ではなく、部屋の反対側で充電する形にしている方もいます。ポイントは、意志ではなく手順で決めてしまうことです。
けんぞう先生そうです。毎晩、意志の力で自分と戦うのは続きません。合図をひとつ決めるだけのほうが、はるかにラクですよ。
2. スマホを置いたあとの1分、胸を開く
けんぞう先生次に、スマホを置いてから布団に入るまでの1分です。難しいことはしません。
- 両肩をゆっくり大きく、後ろ向きに5回まわす
- 手のひらを上に向けて、腕を身体の少し後ろに開き、そのまま鼻から息を吸う
けんぞう先生もう少し何かしたい方には、バスタオルか毛布を細長く丸めて、背骨に沿って縦に置き、その上に仰向けで寝てみてください。1分から2分、ただ力を抜くだけです。
みなみ縦、ですか。背中の下に横向きに入れるイメージでした。
けんぞう先生そこ、大事なところです。硬いものを横に入れるのは、寝る前にはおすすめしません。
けんぞう先生ストレッチポールや筋膜ローラーのような硬いものを、背中を横切る向きで入れると、身体はそこを支点にして強く反ることになります。とくに身長が高くない方の場合、反りがかなりきつく出ます。人によっては、なかなかの刺激です。
けんぞう先生だと思いました。日中に「よし、しっかりやるぞ」という気持ちでやるならまだしも、これから眠ろうという時間にやることではありません。身体が力を抜くどころか、刺激に反応して緊張してしまいます。
けんぞう先生いえ、低めに巻いたバスタオルくらいなら、横向きでも大丈夫ですよ。高さが出ないぶん、反りもきつくなりません。避けたいのは、硬くて高さのあるものです。
けんぞう先生縦に置くと、背骨全体が支えられた状態になります。反らされるのではなく、支えられたまま、両側にじわっと開いていく感じですね。力を抜きやすいですし、難易度も低いです。寝る前にやるなら、断然こちらです。
みなみストレッチポールを持ってるんですけど、それでもいいですか。
けんぞう先生もちろん使えます。その場合も同じで、縦に置いて、その上に仰向けに乗る形にしてください。ただ、寝る前の1分のためにわざわざ買う必要はないですよ。バスタオルや毛布で十分です。
けんぞう先生しなくていいです。ゴロゴロ転がすより、1か所で力を抜いて30秒から90秒じっとしているほうが、身体はゆるみやすくなります。力をかけると、身体は守ろうとしてかえって固まりますからね。
けんぞう先生みなさんそうおっしゃいます。ただ、日中にしっかり時間を取ってやりたい方や、長く使う道具として検討している方もいると思います。ストレッチポールと筋膜ローラーは、選ぶ基準も向いている人もまったく違うので、そこは別の記事でくわしくまとめています。
3. 布団に入ったら、吐く息を長く
けんぞう先生最後に、布団に入ってからの一手です。さっきお話しした「呼吸だけは自分で操作できる」を使います。
けんぞう先生はい。仰向けになって、鼻からゆっくり吸って、口から長く吐く。吐くほうを、吸うより長くするのがポイントです。4つ数えて吸って、8つ数えて吐く、くらいのイメージですね。
けんぞう先生それだけです。長く吐く動きは、身体が休息モードに入りやすい状態をつくると言われています。5回でいいので、試してみてください。頭の中で考えごとが始まったら、また呼吸に戻ればいいんです。
けんぞう先生3つ全部やらなくていいですよ。やりやすいものをひとつだけ。まずはそれで十分です。
それでも朝しんどいときは、順番を確認してみてください
みなみこれで変わらなかったら、やっぱり枕を買い替えたほうがいいですか。
けんぞう先生気持ちは分かります。でも、順番を間違えないでほしいんです。身体がすでに前に丸まった形で固まっているとき、そこに新しい枕を当てても、枕のほうが身体の形に合わせられてしまうだけなんですよ。歪んだ土台の上に、いい建材を乗せるようなものですね。
けんぞう先生そうです。まず身体の形を整える。そのうえで、その身体に合う環境を選ぶ。この順番だと、寝具選びで納得できる確率がぐっと上がります。逆にすると「高い枕を買ったのに合わない」を繰り返すことになりがちです。
みなみ耳が痛いです。3つ目なんです、いま使ってる枕。
けんぞう先生珍しくないですよ。ただ、そういう方が身体の形が変わったあとに同じ枕を試すと「あ、これで合ってました」とおっしゃることが本当に多いんです。枕が悪かったわけではなく、乗せる身体の側が変わっていた、ということですね。
寝具の選び方そのものは、別の記事でくわしくまとめています。今日の話で夜の過ごし方を整えたうえで、環境の見直しに進んでいただければと思います。
よくあるご質問
Q. ナイトモードやブルーライトカット眼鏡は、意味がないということですか?
いいえ、光を弱めること自体には意味があります。ただ、それだけでは頭の興奮と呼吸の部分が手つかずのまま残ります。「やっているのに手ごたえがない」という方は、光以外の要素を見直してみてください。
Q. 寝る何分前にスマホをやめるべきですか?
よく「1時間前」「30分前」と言われますが、育児中の方に時間で区切る方法はあまり現実的ではありません。それより、歯を磨いたら情報系は見ない、充電器に挿したら終わり、といった行動の合図を決めるほうが続きます。
Q. 自律神経を整えるサプリや飲み物は使ったほうがいいですか?
私は、まず自分の身体でできることから試すのをおすすめしています。呼吸を整える、姿勢を戻す、部屋を暗くする。ここはお金がかかりませんし、毎晩できます。そのうえで足りないと感じたときに、ほかの手段を検討する順番がいいと思います。
Q. 音声だけ、動画を流しながらの寝落ちならいいですか?
画面を見ない分、光と目の負担は減ります。ただ、内容によっては頭が働き続けてしまいますし、イヤホンをつけたまま横向きで寝ると、耳や下側の肩に圧がかかります。音量を絞る、タイマーを使うなど、身体に残らない形にしておきたいですね。
Q. 夜泣きで何度も起こされるので、そもそも寝る前の準備どころではありません。
その場合は、3つの提案のうち「布団に入ったら吐く息を長く」だけで十分です。細切れの睡眠でも、入るたびに休息モードへ向かいやすい状態をつくれれば、身体にとっては意味があります。
おわりに
今日の話を一行にすると、こうなります。
寝る前スマホの問題は、光だけではありません。頭と身体が活動モードのままなのが本丸です。
やめる必要はありません。減らす必要も、まずはありません。終わりの合図をひとつ決めて、置いたあとの1分だけ胸を開いて、布団の中で長く吐く。それだけでも、身体が眠りに入っていく状態は変わります。
自律神経は自分では動かせない、と言われます。でも呼吸だけは、いつでも自分の手の中にあります。そこが、私たちに残された入口です。
夜のあの時間は、みなみさんのような方にとって、一日でたったひとつの自分の時間です。私はそれを守ったうえで、身体に残るものだけを減らしていく方法を考えたい。整体師としての本音です。
なお、強い痛みやしびれがある場合、腕に力が入らない、息苦しさが続く、日中に強い眠気があって生活に支障が出ているといった場合は、まず医療機関を受診してください。姿勢や生活の工夫では対応できないものもあります。
そして、検査を受けて「異常はありません」と言われたのに不調が続いている方。そこからが、このサイトの領域です。あきらめる必要はありません。
その不調、寝具のせいだけじゃないかもしれません。身体の状態を整えた上で、自分に合った環境を選ぶことが大切です。
※この記事の内容は一般的な情報提供であり、診断や治療の代わりにはなりません。
執筆・監修:けんぞう先生(整体師/施術歴23年・延べ4万5千人)