こんにちは、整体師のけんぞうです。
ノートパソコンで仕事をしていると、気づけば肩がガチガチ。首も重いし、夕方には腰まで気になってくる。作業を始めたときは普通に座っていたはずなのに、終わるころには、ずいぶん違う姿勢になっていませんか。
集中し出すと、どんどんどんどん背中が丸まっていく。画面と顔の距離が近づいていく。呼吸も浅くなっていく。私がイメージしているのは、そんな作業中の変化です。
「椅子にはお金をかけているんだけどなあ」
そう思った方にも、今回の話を読んでほしいんです。10万円以上のゲーミングチェアを使っている方でも、座る位置や床との組み合わせまで見ないと、仕事中の姿勢は崩れていきます。
私が椅子に座るポイントとして、いつもお伝えしているのは、この2つです。
「背もたれにもたれたいなら深く座る」
「浅く座るならもたれない」
椅子の値段を比べる前に、まず自分がどう座っているかを見てください。今回は、集中すると姿勢が崩れる流れと、床座り・こたつ・ソファーを背もたれにする座り方について、私の考えをお伝えします。
肩こりが気になるノートパソコン作業。集中した後の自分を見てほしい
ノートパソコンを開いたばかりのときは、顔と画面の間にも距離があります。ところが、細かい文字を読んだり、入力に夢中になったりしているうちに、顔が前へ近づいていく。
背中は丸まり、頭は前へ。キーボードへ伸ばした腕につられるように、肩も前へ入り込んでいく。気づいたときには、最初に座った姿勢からずいぶん変わっている。そして呼吸もほぼ止まっている、、、そんな流れに心当たりはありませんか。
画面に集中すること自体が悪い、という話ではありません。仕事をするなら集中は必要です。ただ、その間に身体がどうなっているかは、つい後回しになってしまいます。
「肩がこったから、肩をどうにかしよう」だけで終わらず、肩が気になるまでの作業の流れも見てほしいんです。いま肩を回して少し楽に感じても、また同じ座り方に戻れば、同じ場面を繰り返しているかもしれません。
この記事で取り上げるのは、私が座り方を説明するときに重視している見方です。肩こりや腰痛の原因を、座り姿勢だけで決めるものではありません。
10万円の椅子でも、キャスターで後ろに逃げていくことがある

キャスター付きの椅子を、フローリングなどの滑りやすい床で使っている場合を考えてみてください。
作業中に姿勢が崩れて上半身が前に倒れていくにつれて、椅子は後ろへ逃げていく。でも、手はキーボードに置いていたい。画面も見たい。身体は机のほうへ残ろうとして、椅子と自分の位置がずれていく。
すると、深く座っていたはずなのに、お尻は座面の前のほうへ。骨盤は後傾しやすくなり、背中は丸まって、ストレートネックの形になりやすい。私が気にしているのは、この崩れ方です。
椅子が立派でも、その背もたれを使える位置に座れていなければ、思っているようには身体を預けられません。座ったときにはちょうどよかった机との距離も、椅子が動けば変わります。
「いい椅子なのに肩がこる」と感じたら、椅子の説明書や値段だけでなく、仕事の途中で椅子がどこにあるかも見てください。作業を始めたときより、机から離れていませんか。背もたれに預けているつもりでも、お尻だけ前へずれていませんか。
ここでの「ストレートネックの形」は、作業中に首を前へ突き出す姿勢を説明する表現です。実際の首の状態や診断は、この記事を読んだだけで判断するものではありません。
背もたれにもたれたいなら深く座る。浅く座るならもたれない

「背もたれにもたれたいなら深く座る」
「浅く座るならもたれない」
この2つは、セットで覚えてください。
私が気になるのは、浅く座ったまま、遠くにある背もたれへ身体を預けようとする座り方です。お尻は前、上半身は後ろ。背もたれにもたれているつもりでも、骨盤が後ろへ傾き、背中が丸くなっている。
そのままノートパソコンを使おうとすれば、顔と腕は前へ持っていかなければいけません。下半身は前へずれ、上半身は後ろへ預け、頭と腕は机へ向かう。座っているだけなのに、身体の各部分が違う方向へ引っ張られているような形です。
「背筋を伸ばして!」と上半身だけを頑張らせる前に、お尻の位置を確認する。背もたれを使いたいなら、そこへ身体を預けられる位置に座る。浅く座るなら、後ろへ倒れ込んでもたれない。私が伝えたいのは、この関係です。
椅子の高さも確認。膝が低くなる座り方はおすすめしません
また、椅子の高さも重要です。私がお伝えしている目安は、股関節と膝の角度がほぼ90度になる高さです。
腿と膝の高さを比べて、少しだけ膝が高いぐらいまでは椅子を下げてOKです。膝のほうが低くなる座り方は、お尻が前へずれていきやすいので、私はおすすめしません。
深く座ったつもりでも、作業中にお尻が前へずれていくなら、座る位置だけでなく椅子の高さも見てください。
ただし、深く座れば、どんな椅子でも自分に合うということではありません。座面が深すぎて膝の裏が当たる、足が浮く、机に手を置くと肩が上がる。そうした場合は、椅子や机との組み合わせも確認してください。
英国の労働安全衛生機関HSEも、座面による太ももの支え、腰を支える背もたれ、肩をすくめずに使えるキーボードの位置などを、作業環境の確認点として挙げています。HSE:画面作業の姿勢
浅く座ってもたれなければ、何時間でもそのままでいい、という意味でもありません。一つの形に身体を固めることより、まず、いまどんな座り方をしているかに気づいてほしいんです。
▶ 関連:在宅ワークの肩こりは「座り姿勢」から?負担をためない座り方と1分リセット(#10)
ローテーブル・こたつの床座りは、骨盤を立てるところから難しい
ローテーブルやこたつで、地べたに座ってノートパソコンを使う方もいらっしゃいますよね。机と椅子を置くスペースがない。こたつが暖かい。床のほうが落ち着く。暮らしの中では、そんな理由もあると思います。
ただ、私は床座りの作業は、特に背中が丸まりやすい傾向にあるんじゃないかと思っています。
特に、身体が硬い方、前屈が苦手な方です。地べたに座った状態で骨盤を立てて座ることが難しいので、ほぼ確実に骨盤が後ろに傾きます。
そして、そのバランスを取るために頭が前に出て、背中が丸まってしまう。私は、この流れを見てほしいんです。
さらに、床座りでノートパソコンを使うなら、キーボードを操作するために腕を前へ伸ばします。頭は画面へ近づき、腕も前へ。背中が丸くなったところへ、その作業の形が重なっていきます。
肩だけを後ろへ引けばいい、胸を張ればいい、と考える前に、座っている土台から見てください。「骨盤を立てて」と言われても、その位置へ持っていくこと自体が難しい方もいるのです。
これは、身体が硬い方を責めたいのではありません。自分にとって難しい座り方で、長い時間の作業を頑張り続けていないか、気づいてほしいんです。
こたつでくつろぐ時間と、キーボードを打ち続ける仕事の時間も、分けて考えてみてください。同じ場所でも、手を前に伸ばして画面を見続けるときには、身体の使い方が変わります。
巻き肩が気になる人は、キーボードへ伸ばした腕も確認して
骨盤が後ろへ傾き、背中が丸まり、頭が前へ出る。その状態で、腕をキーボードへ伸ばす。私が「巻き肩の完成」と伝えたくなるのは、この一連の形です。
キーボードへ腕を伸ばし、手のひらを下に向けて作業する中で、肩まで前に入り込んでいないかも見てください。
画面に顔が近づいていることには気づいても、腕と肩の位置までは見ていなかった、という方もいるのではないでしょうか。
ノートパソコンは、画面とキーボードが一つになっています。画面を見やすい位置と、腕を無理なく置ける位置を、それぞれ考える必要があります。
HSEは、ノートパソコンを長時間使う際の環境として、外付けキーボードやマウスを使って画面を高くする方法、外部ディスプレイを使う方法を示しています。HSE:ノートパソコンの配置
ここでは特定の道具を買ってもらうより先に、顔・肩・腕・お尻が、作業中にどこへ動いているかを知ってほしいと思っています。環境を整える順番は、別の記事で整理しています。
▶ 関連:デスクワークの環境、何から整えればいい?椅子・モニター・スマホの優先順位(#66)
ソファーを背もたれにして、お尻を前へずらす座り方はやめてほしい

ソファーに座らず、ソファーの前の床に座る。そして、ソファーを背もたれにして、お尻を前へずらしたまま作業する。そんな座り方をする方もいらっしゃいます。
背中を預けられるので、一見楽そうですよね。でも、骨盤は後ろへ傾き、背中は丸くなりやすい。そこからローテーブルのノートパソコンへ手を伸ばせば、頭と腕はまた前へ向かいます。
この座り方について、私は強くお伝えしたいです。
ほぼ確実に腰を痛めますので、絶対にやめて欲しい座り方の1つです!
これは、私が座り方を説明するときの強い注意喚起です。一人ひとりの発症確率を測定した医学的な数値を示しているわけではありません。
背もたれがあるから安心、と考えると、そこへもたれるまでに自分の身体がどんな形になっているかを見落としてしまいます。椅子でも床でも、もたれる先と座っている位置の関係は大切です。
ノートパソコンを使っているところを想像してみてください。ソファーへ背中を預けたまま、手だけはローテーブルへ伸ばしている。そのとき、お尻は背中より前へ滑っていませんか。頭は画面に近づいていませんか。
「背もたれにもたれたいなら深く座る」「浅く座るならもたれない」。この記事の最初にお伝えした2つのポイントを、ここでも思い出してほしいんです。
椅子を買い替える前に、集中した後の座る位置から見直そう
「肩こりが気になるから、もっといい椅子を買おうかな」
それも選択肢にはなります。ただ、私はその前に、仕事の途中の自分を見てほしいと思っています。
作業を始めたときより、椅子が後ろへ動いていないか。お尻が前へずれていないか。顔が画面に近づいていないか。キーボードへ伸ばした腕と一緒に、肩まで前へ入り込んでいないか。
この流れが分からないまま椅子だけを変えると、新しい椅子でも同じ座り方をしているかもしれません。
私がこのサイトで大切にしているのは、身体の土台から考えることです。肩に力が入っているなら、肩のことだけを見るのではなく、何を支えるためにそうなっているのか。骨盤が後ろへ傾き、頭が前へ出た状態で、作業を続けていないか。
「骨で支える身体」と「筋肉で支える身体」という私の見方は、こちらの記事で詳しく説明しています。
▶ 関連:「骨で支える身体」と「筋肉で支える身体」の違い。肩こり・疲れが抜けない根本の話(#30)
作業途中のセルフケアを考える場合も、まず目的を整理してから道具を選んでください。道具の違いや選ぶ順番は、別の記事にまとめています。
▶ 関連:ストレッチポール・フォームローラー・マッサージボール、どれを買う?目的別の使い分け(#62)
こんな時は、まず医療機関へ
肩こりや腰痛を、すべて座り方のせいだと判断しないでください。作業環境を見直す話と、医療機関で確認が必要な症状は、分けて考えることが大切です。
特に、次のような場合は医療機関への相談を優先してください。
- 腰痛とともに両脚のしびれや力の入りにくさがある。
- 股の周囲の感覚が鈍い、尿が出にくい、尿や便を漏らすなどの変化がある。
- 急に強い痛みが出た、短時間で悪化している、発熱や強い体調不良を伴う。
- 大きな事故や転倒の後から痛みがある。
- 痛みが続き、日常生活や仕事に支障がある。
特に、腰痛とともに両脚の症状や排尿・排便の異常がある場合、大きな事故の後の痛みは、速やかな医療対応が必要です。英国NHSも、腰痛の受診目安と緊急対応が必要な症状を区別して案内しています。NHS:腰痛の受診目安
まとめ:いい椅子の前に、どう座っているかを見てほしい
- ノートパソコンに集中した後の、顔・背中・肩・お尻の位置を確認する。
- キャスター付きの椅子は、床との組み合わせや作業中の移動も見る。
- 「背もたれにもたれたいなら深く座る」「浅く座るならもたれない」を意識する。
- 身体が硬い方の床座りは、骨盤が後ろへ傾くところから見ていく。
- ソファーを背にしてお尻を前へずらす座り方を、私は強く避けてほしいとお伝えする。
椅子にお金をかけているのに、肩や首が気になる。そのとき、また次の商品を探す前に、集中している自分の座り方を見てください。
最初にきれいに座れているかよりも、作業を続けるうちに、どこから崩れていくのか。その入り口を知ることが、私は大切だと思っています。
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強い痛みやしびれ、排尿・排便の異常がある場合は、まず医療機関での診察を優先してください。
検査で異常なしと言われたのに不調が続く方、そこからが当サイトの領域の出番です。あきらめる必要はありません。症状が続いたり変化したりする場合は、医療機関にも改めて相談してください。
その不調、寝具のせいだけじゃないかもしれません。身体の状態を整えた上で、自分に合った環境を選ぶことが大切です。日中の座り方からも、身体の土台を見ていきましょう。
※この記事の内容は一般的な情報提供であり、診断や治療の代わりにはなりません。

