身体の土台から考える

寝ても肩こりが取れないのはなぜ?マッサージで戻る首こり・頭痛の“寝ている間”の原因

ぐっすり寝たはずなのに、朝から肩こりと首こりが重い。頭痛までついてくる。マッサージに行くとその場は軽くなるのに、また戻ってしまう。もしあなたが今そんな状態なら、「寝ても取れない疲れ」の正体を、身体の土台という視点から一緒に見ていきましょう。その不調、じつは寝具のせいだけではないかもしれません。
みなみ
みなみ

けんぞう先生、聞いてください。昨日けっこう早く寝られたんですよ。なのに朝起きたら、首から肩がガチガチで。頭も片側だけズーンと重くて…。寝たら回復するはずじゃないんですか?

けんぞう
先生
けんぞう先生

それ、すごく多いお悩みなんです。「寝たのに取れない」って、なんだか損した気分になりますよね。

じつは睡眠って、本来は身体をいちばんゆるめてリセットする時間なんです。でも、その大事な時間にうまく力が抜けていない人が、けっこういるんですよ。

みなみ
みなみ

力が抜けていない…?寝てるのに、ですか?

けんぞう
先生
けんぞう先生

そうなんです。「寝ている=休めている」とは限らないんですね。今日はそのあたりを、みなみさんと一緒にほどいていきましょう。

そもそも、なんで「寝ても」肩こりが取れないの?

けんぞう
先生
けんぞう先生

まず前提として、肩こりや首こりって「その日の疲れ」だけでできているわけじゃないんです。日中ずっと積み重なった身体のクセが、夜になっても抜けきらずに残っている。そういうイメージなんですね。

みなみさん、日中はどんな姿勢でいることが多いですか?

みなみ
みなみ

えっと…在宅の仕事なので、パソコンにずっと向かってます。あと、下の子がまだ0歳なので、授乳と抱っこがすごく多くて。気づくと一日じゅう前かがみですね。首だけ画面に近づいてる感じ。

けんぞう
先生
けんぞう先生

まさに、そこなんです。頭って、思っているよりずっと重いんですよ。だいたいボウリングの球くらいの重さがあると言われています。

その重い頭が、前かがみで身体より前に出ると、首の後ろや肩は、落ちないように一日じゅう支え続けることになります。授乳や抱っこも、ずっと下を向いて、腕を前に出しっぱなしの姿勢ですよね。

みなみ
みなみ

あー…たしかに。抱っこしてる時、自分の姿勢なんて全然気にしてる余裕ないです。

けんぞう
先生
けんぞう先生

当然だと思います。赤ちゃんを見てるので、自分の身体は後回しになりますよね。

ここでお伝えしたいのは、首や肩の筋肉が、日中ずっと「がんばりっぱなし」の状態になっているということなんです。ずっと力を入れ続けた筋肉は、夜になってもすぐには“オフ”に切り替わってくれません。スイッチが入りっぱなしのまま、布団に入ってしまう。

だから、寝ても抜けきらない。これが「寝ても取れない」の、いちばん大きな土台にあります。

ポイント:肩こり・首こりは「今日の疲れ」だけでなく、日中ずっと続いた姿勢のクセの積み重ね。力が入りっぱなしの筋肉は、眠りに入ってもすぐには休めないことがあります。

マッサージで軽くなっても、また戻ってしまうのはなぜ?

みなみ
みなみ

でも先生、私マッサージにも行ってるんですよ。その時はすごく気持ちよくて、肩も軽くなるんです。なのに、翌朝にはもう元通りで…。あれ、なんでなんでしょう?お金かけてるのに、って正直ちょっと悲しくなります。

けんぞう
先生
けんぞう先生

その気持ち、すごくよく分かります。「あの気持ちよさは何だったの」って思っちゃいますよね。

マッサージで軽くなるのは、本当のことなんです。表面の筋肉がゆるむと、血のめぐりが一時的に良くなって、その瞬間はふっと楽になる。それ自体はとても良いことなんですよ。

みなみ
みなみ

じゃあ、なんで戻っちゃうんですか?

けんぞう
先生
けんぞう先生

ここが大事なところです。表面の筋肉をゆるめても、「その姿勢に戻ろうとする力」までは、まだ残っているからなんです。

たとえば、丸まったクセのついた身体は、揉んでもらった直後は伸びても、しばらくすると、また元の丸まった形に引き戻されていきます。身体は、慣れた姿勢を“いつもの位置”として覚えているんですね。

みなみ
みなみ

クセのついた身体が、勝手に元に戻ろうとしちゃうってことですか。

けんぞう
先生
けんぞう先生

そういうイメージです。だから、表面をゆるめる「その場のケア」と、身体の土台にある姿勢のクセに目を向けることは、役割が違うんですね。どちらが良い悪いではなく、見ている場所が違う。

私はこれまで、のべ2万人ほどの方の身体を見させていただいてきました。その中で、「なぜか戻ってしまう」とおっしゃる方の多くに共通していたのが、まさにこの“土台の部分がそのまま”という状態だったんです。

その不調、寝具のせいだけじゃないかもしれません。
そして、マッサージだけのせいでもないんです。
大切なのは、身体の土台にある姿勢のクセにも目を向けたうえで、自分に合った環境を選んでいくこと。

“寝ている間”に、身体では何が起きている?

みなみ
みなみ

日中のクセが夜まで残るのは分かってきました。でも「寝ている間の原因」ってタイトルにありましたよね。眠ってる間にも、何か起きてるんですか?

けんぞう
先生
けんぞう先生

いい質問です。じつは、寝ている時間こそ、身体にとってはすごく長い“ひとつの姿勢”の時間なんですよ。

考えてみてください。仮に6時間眠れたとしたら、その6時間、身体はだいたい同じ姿勢で過ごすことになります。日中は動けますけど、寝ている間は自分で細かく直せませんよね。

みなみ
みなみ

たしかに…。しかも私、下の子の夜泣きで何回も起きるので、6時間まとめてなんて夢のまた夢です。細切れで、変な体勢のまま気絶するように寝てることも多くて。

けんぞう
先生
けんぞう先生

その状況、本当に大変ですよね。よくがんばっていらっしゃると思います。

じつはそこにもヒントがあって。寝返りって、無意識に身体の位置を調整して、同じところに負担が集中しないようにしてくれる、大事な動きなんです。ところが、身体が疲れてこわばっていたり、細切れの浅い眠りが続いていたりすると、この寝返りがうまく出にくくなることがあると言われています。

みなみ
みなみ

寝返りが少ないと、どうなるんですか?

けんぞう
先生
けんぞう先生

同じ場所に、同じ向きの負担がかかり続けやすくなります。首や肩の一か所に、長い時間ずっと重さが乗っかっている感じですね。すると、朝起きたときに「そこだけ重い」「片側だけこっている」という感覚につながることがあるんです。

みなみさんの、片側だけの頭の重さも、じつはこういう“夜のあいだの偏り”と関係していることがあります。

浅い呼吸も、こっそり関わっています

けんぞう
先生
けんぞう先生

もうひとつ。前かがみで肩が内側に丸まった姿勢が続くと、胸まわりが縮こまって、呼吸が浅くなりやすいんです。

呼吸が浅いと、身体は「リラックスモード」に入りづらくなると言われています。寝ているのに、どこかで気を張っているような状態ですね。首の前側の筋肉、いわゆる息を吸うときに使う筋肉まで、こっそり働き続けてしまうことがあるんです。

みなみ
みなみ

寝てるのに気を張ってるって、なんだか切ないですね…。そりゃあ朝から疲れてるわけだ。

けんぞう
先生
けんぞう先生

そうなんです。だから「寝ている間の原因」って、寝ている時間だけで完結しているわけじゃなくて、日中の姿勢・呼吸・こわばりが、そのまま夜に持ち越されている、という話なんですね。

ここまでのまとめ:寝ている時間は「長いひとつの姿勢」の時間。疲れやこわばりで寝返りが出にくかったり、呼吸が浅くて身体が休みモードに入りづらかったりすると、同じ場所に負担が偏り、朝の重さやこりにつながることがあります。

「寝具のせいだけじゃない」ってどういうこと?

みなみ
みなみ

あの、ここまで聞いて思ったんですけど…。じゃあ枕とかマットレスを良いものに変えても、意味ないってことですか?前に「枕を変えたら肩こりが楽になった」って人の話を聞いて、ちょっと気になってたんです。

けんぞう
先生
けんぞう先生

いえいえ、そうじゃないんです。ここは誤解してほしくないところなので、はっきりお伝えしますね。

枕やマットレスは、とても大事です。寝ている間の身体を支えてくれる“環境”ですから。自分に合っていない寝具だと、それだけで身体に負担がかかることもあります。だから、環境を見直すことには意味があります。

みなみ
みなみ

じゃあ、変えたほうがいいってことですか?

けんぞう
先生
けんぞう先生

そこなんです。私がお伝えしたいのは、順番なんですよ。

身体の土台がガチガチにこわばったままだと、どんなに良い枕を使っても、身体のほうが枕に合わせられない、ということが起こりえます。逆に、身体側がある程度ゆるんで整っていると、同じ寝具でも“しっくりくる”感じが出やすくなる。土台と環境は、セットで考えるとうまくいきやすいんです。

みなみ
みなみ

なるほど…。身体をほったらかしで枕だけ変えても、片手落ちってことですね。

けんぞう
先生
けんぞう先生

そのとおりです。だから「枕が悪い」でも「身体が悪い」でもなくて、両方に目を向けるのが現実的なんですね。

寝具は“解決策”というより、身体に合わせて選ぶ“選択肢”だと思ってもらえると、失敗しにくいと思います。

その不調、寝具のせいだけじゃないかもしれません。
身体の状態を整えたうえで、自分に合った環境を選ぶことが大切です。

今日から意識できる、身体の土台をゆるめる視点

みなみ
みなみ

先生、理屈は分かってきました。でも私、正直そんなに時間ないんです…。ジムとか整体に毎回通うのも、赤ちゃんいると難しくて。家でちょっとでもできること、ありますか?

けんぞう
先生
けんぞう先生

もちろんです。むしろ、特別なことより「日常のちょっとした意識」のほうが続きますし、土台には効いてきます。3つだけ、お伝えしますね。

その1:日中、1時間に一度だけ“上を向く”

けんぞう
先生
けんぞう先生

前かがみが続くのが土台のクセになる、という話をしましたよね。なので、その逆を少しだけ入れてあげます。

1時間に一度、手を止めて、ゆっくり天井を見上げる。そのまま数呼吸だけ。これだけで、丸まりっぱなしだった身体に「反対向きもあるよ」と思い出させてあげられます。授乳のあいだの合図にしてもいいですね。

みなみ
みなみ

それなら、スマホのタイマーでできそう。上を向くだけならズボラな私でも…。

その2:寝る前に、ひと息だけ“長く吐く”

けんぞう
先生
けんぞう先生

呼吸が浅いと身体が休みモードに入りづらい、という話をしましたよね。そこで、布団に入ったら、吸うことより「長く吐く」ことだけ意識してみてください。

ゆっくり口から吐いていくと、肩の力がすっと抜けやすくなります。何回もやらなくて大丈夫。数回で十分です。“今日はもうがんばらなくていいよ”と、身体に伝えてあげる感じですね。

みなみ
みなみ

吐くだけ。それなら夜泣きで起きたあとでもできますね。

その3:肩を“すくめて、ストンと落とす”だけ

けんぞう
先生
けんぞう先生

こっている時って、じつは自分では「力が入っている」ことに気づけないことが多いんです。ずっと入りっぱなしだと、それが“ふつう”になっちゃうので。

そこで、あえて一度ぎゅーっと肩を耳に近づけてすくめてから、ストンと一気に落とす。これを2〜3回。力を入れた後のほうが、抜けた感覚が分かりやすいんですね。「あ、さっきまでこんなに力入ってたんだ」って気づけると、それだけで身体は変わりはじめます。

みなみ
みなみ

どれも1分もかからないですね。これなら子ども見ながらでもできそうです。

けんぞう
先生
けんぞう先生

そこが大事なんです。すごいことを一回やるより、小さいことを毎日。土台って、そうやって少しずつ変わっていくものなので。

もちろん、これで全部がすぐに軽くなる、という魔法ではありません。強い痛みやしびれがあるとき、頭痛が続くときは、無理をせず専門の医療機関に相談してくださいね。そこは大前提です。

無理は禁物です。強い痛み・しびれ・長く続く頭痛など、気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関にご相談ください。ここで紹介したのは、あくまで日常の中で身体をゆるめる意識づけです。

まとめ:土台を整えてから、環境を選ぶ

けんぞう
先生
けんぞう先生

今日の話、ぎゅっとまとめますね。

寝ても肩こりや首こりが取れないのは、日中の姿勢のクセや浅い呼吸が、そのまま夜に持ち越されているから。寝ている時間は「長いひとつの姿勢」の時間なので、こわばったままだと負担が偏りやすい。そしてマッサージで表面をゆるめても、土台にある姿勢のクセが残っていれば、また戻りやすい。

だからこそ、身体の土台に目を向けることと、寝具のような環境を選ぶことは、両方セットで考える。これが、遠回りに見えていちばんの近道なんです。

みなみ
みなみ

今まで「マッサージに行っても戻る、私の身体ってダメなのかな」って思ってたんですけど、そういう仕組みだったんですね。ちょっとホッとしました。まず、上を向くのと、長く吐くのからやってみます。

けんぞう
先生
けんぞう先生

それで十分です。みなみさんの身体は、ダメなんかじゃありません。ただ、がんばりすぎて休み方を忘れているだけ。少しずつ、思い出していきましょう。


よくある質問

Q. 寝ても肩こりが取れません。原因は何ですか?

日中の前かがみ姿勢や浅い呼吸によるこわばりが、そのまま夜に持ち越されていることが一因と考えられます。寝ている時間は長いひとつの姿勢の時間なので、負担が同じ場所に偏り、朝の重さやこりにつながることがあります。

Q. マッサージに行っても、翌朝には戻ってしまいます。なぜですか?

マッサージは表面の筋肉をゆるめてその場を軽くしてくれますが、身体の土台にある姿勢のクセ(元の形に戻ろうとする力)が残っていると、また引き戻されやすくなります。その場のケアと、土台への視点は役割が違います。

Q. 枕を変えれば肩こりはなくなりますか?

枕やマットレスは寝ている間の身体を支える大切な環境で、自分に合ったものを選ぶ意味は大いにあります。ただし身体の土台がこわばったままだと、良い寝具でも活きにくいことがあります。身体を整えることと環境を選ぶことは、セットで考えるのがおすすめです。