枕・寝具
[#13]枕を変えても肩こりが取れない人へ。実はマットレスとの相性かもしれません
文=けんぞう(美容整体師・小顔矯正士/施術歴13年・延べ2万7千人以上)
枕はいくつも試したのに、朝の肩や首のつらさがちっとも変わらない。そんな経験はありませんか。こんにちは、整体師のけんぞうです。美容・健康業界歴18年、施術歴13年・延べ2万7千人以上の身体と向き合ってきました。この記事では、枕選びだけでは見落とされがちな「マットレスとの相性」について、実際にあった例を交えてお伝えします。
みなみ先生、実はうちの父の話なんですけど……。会社を経営してる64歳で、もう何十年も付き合いでゴルフをしているような人なんですけど、昔から腰痛持ちで。最近はヘルニアとか坐骨神経痛の診断も受けてて、出張や旅行のたびに「宿のベッドが合わなくて眠れなかった」ってボヤいてるんです。
けんぞう先生それ、実はすごくよくある話なんです。しかも「枕」の相談は多いのに、「マットレス」の相談って意外と後回しにされがちなんですよ。お父様の場合、腰痛やヘルニアの既往があるとのことなので、マットレスとの相性が体感としてかなり出やすいタイプだと思います。
みなみ父はいつも「枕は変えてみたんだけど」って言ってるんですけど、マットレスまでは全然見直してなくて……。
けんぞう先生枕を見直す方はすごく多いんですが、実はマットレスとセットで考えないと、片方だけ直しても効果が出にくいことがあるんです。今日はその理由を一緒に見ていきましょう。
寝具は「総力戦」——枕だけ見直しても変わらない理由
けんぞう先生以前、枕についての記事で「枕は正しい骨格で眠りに入るための環境」というお話をしました。覚えていますか?
みなみはい、枕自体が不調を治すわけじゃなくて、あくまで骨格を支える道具、という話でしたよね。
けんぞう先生そうです。実はマットレスも、まったく同じ役割を担っています。人の背骨は「前弯・後弯・前弯」というゆるやかなS字カーブを描いていて、このカーブのおかげで、重い頭や上半身を「骨で」支えられるようになっています。仰向けで寝るとき、このS字カーブを保ったまま眠れるかどうかは、枕の高さだけでなく、身体を下から支えるマットレス側の状態にも大きく左右されるんです。
みなみ枕は上から、マットレスは下から、両方でカーブを支えている、ということですか。
けんぞう先生まさにそのイメージです。どんなに枕で首の高さを合わせても、マットレスが身体に合っていなければ、腰やお尻のあたりが沈み込みすぎたり、逆に浮いてしまったりして、S字カーブそのものが崩れてしまいます。土台が崩れていては、枕がいくらがんばっても限界があるんです。
みなみじゃあ、枕とマットレスの両方が揃ってはじめて「合っている」ということですか。
けんぞう先生私はよく「寝具は総力戦」とお伝えしています。枕単体では正解が出ないんです。マットレスの硬さ、寝る人の体型、体重、後頭部の形、首の長さ——こうした変数の掛け算で、合う枕の高さも変わってくる。だから既製品では正解を出しにくくて、何個買い替えても合わない「枕難民」になってしまう方が多いんです。
マットレスの硬さと枕の高さ——覚えておきたい原則
みなみ先生、マットレスの硬さが変わると、枕の高さも変わるってことですよね? それって、何か分かりやすい法則はあるんですか?
けんぞう先生あります。シンプルな原則なので、覚えておいてください。
- マットレスが柔らかい → 身体が沈みやすい → 首の下の隙間が小さくなる → 枕は低めが合いやすい
- マットレスが硬い → 身体が沈みにくい → 首の下の隙間が大きくなる → 枕は高めが合いやすい
みなみあ、なるほど! 身体がどれだけ沈むかで、首の下にできる隙間の大きさが変わるんですね。
けんぞう先生その通りです。だから同じ枕でも、柔らかいマットレスの上では「高すぎる」と感じ、硬いマットレスの上では「ちょうどいい」と感じることがあるんです。出張先のホテルで枕が合わなかったというお父様の話も、まさにこれが原因かもしれません。
みなみちなみに先生、よく「敷布団とベッドマットレスはどちらがいいですか?」って聞かれませんか?
けんぞう先生聞かれます。でも答えは「どちらが良い」ではありません。寝具は総力戦なので、大事なのは実際に寝てみたときに生じる首の下の隙間に対して、適切に支えられる枕があるかどうか。敷布団でもベッドでも、その隙間に合った枕が見つかれば、それがその人にとっての正解です。
マットレスが合っていないサイン
みなみどうやったら、マットレスが合っていないって分かるんでしょうか?
けんぞう先生いくつか分かりやすいサインがあります。ご自身やお父様に当てはまるものがないか、見てみてください。
沈み込みすぎているサイン
- 仰向けで寝ると、お尻や腰のあたりが沈んで、身体が「くの字」に折れているように感じる
- 横向きで寝ると、肩や腰が深く沈み込んで、抜け出しにくい感覚がある
- 朝起きたときに、腰やお尻まわりが重だるい
硬すぎる・支えが足りないサイン
- 肩やお尻など、骨が出っ張っている部分に圧迫感を感じて目が覚める
- 横向きで寝ると、肩や腰に痛みを感じて、何度も寝返りを打ってしまう
- マットレスに接している部分だけがジンジンする感覚がある
みなみ父が言ってたのは「柔らかすぎて腰が沈む」パターンな気がします。出張先のホテルのベッドで、朝起きると腰が張って辛いって。
けんぞう先生それはまさに、沈み込みすぎているサインですね。ホテルのベッドは寝心地の良さを重視して柔らかめに作られていることも多く、普段のマットレスとの差で余計に違和感が出やすいんです。腰痛やヘルニアの既往がある方だと、この沈み込みの影響がより出やすい傾向があります。
特に相性が出やすい人の特徴
けんぞう先生マットレスとの相性は誰にでも関係することですが、特に影響が出やすい方がいます。
- 体重や体格の変化があった方:産後や体重の増減で、以前ちょうど良かった硬さが合わなくなることがあります
- 腰や股関節に既往がある方:ヘルニアや坐骨神経痛の経験がある方は、沈み込みによる負担を感じやすい傾向があります
- 横向き寝が多い方:仰向けより接地面が狭くなる分、硬さのミスマッチが出やすいです
- 普段と違う環境で眠ることが多い方:出張や旅行が多い方は、自宅のマットレスとの差を体感しやすいです
みなみ父、見事に全部当てはまってます……。ゴルフで腰に負担もかかってるでしょうし、出張も多いので。
けんぞう先生そういう方こそ、枕だけでなくマットレスも含めて見直す価値があるタイプだと思います。
今すぐできる、簡単なセルフチェック
けんぞう先生買い替えを考える前に、まず今のマットレスで簡単にチェックできる方法があります。
チェック①:仰向けで手を入れてみる
仰向けに寝た状態で、腰とマットレスの間にそっと手を入れてみてください。すんなり手のひらが入りすぎる場合は、腰が浮いて隙間ができている可能性があります。逆にまったく入らないほどぴったり密着している場合は、沈み込みすぎているサインです。
チェック②:起きたときの身体の場所を確認する
朝起きたときに、身体のどの部分が重だるいかを意識してみてください。腰やお尻まわりが重い場合は沈み込みすぎ、肩や骨の出っ張った部分が痛む場合は硬さが合っていない可能性があります。
チェック③:寝返りの打ちやすさを感じてみる
寝返りが打ちにくい、身体が沈んで抜け出しにくいと感じる場合、マットレスが身体に対して柔らかすぎることが多いです。寝返りは身体が同じ場所に負担をため込まないための大切な仕組みなので、それを妨げていないかは重要なポイントです。
みなみ父にも今度、腰とマットレスの隙間チェック、やってもらいます。
けんぞう先生ぜひ伝えてあげてください。そしてもうひとつ。セルフチェックと合わせて、タオル枕で自分に合う枕の高さをざっくり掴んでおくと、あとの寝具選びがずっとスムーズになりますよ。
寝具の買い替えと予算配分の考え方
みなみ先生、父に「枕もマットレスも見直した方がいい」って伝えたいんですけど……正直、両方一度に買い替えるのは予算的に厳しいと思うんです。どちらを先に買えばいいですか?
けんぞう先生「どちらを先に」という考え方より、トータルの予算で配分を考える方が失敗しにくいです。枕に全振りしても、マットレスに合わなければ意味がない。逆もまた同じです。
けんぞう先生強いて言うなら、へたっている方・古い方を先に買い替えるのが自然です。マットレスが10年以上使っていてヘタヘタなら、そちらが先。枕がぺしゃんこなら、枕が先。ただしどちらを選ぶにしても、「仰向けで良い姿勢で寝られるようにする」という軸だけはぶらさないでください。
みなみマットレスだけ替えたら、今の枕が合わなくなることもありますか?
けんぞう先生あります。マットレスの硬さが変われば身体の沈み方が変わり、首の下の隙間も変わる。先ほどの原則通りです。だからマットレスを買い替えるときは、枕のことも頭に入れておいてほしいんです。おすすめは、まずタオル枕のような無料で試せるもので「自分に合う高さの感覚」をつかんでおくこと。その感覚があれば、マットレスを替えたあとも、タオルで高さを調整し直すことができます。
こんな場合は、まず医療機関へ
けんぞう先生これは必ずお伝えしておきたいのですが、強いしびれや、脚に力が入りにくいといった症状がある場合、マットレスの見直しの前に、まず整形外科などの医療機関に相談してください。特にヘルニアや坐骨神経痛の診断を受けている方は、自己判断で無理に硬い寝具に変える、逆に極端に柔らかいものを試すといったことは避け、主治医の指示も踏まえた上で環境を整えていくことをおすすめします。
みなみ父にもそこはちゃんと伝えます。まずは病院での診断が優先ですよね。
よくある質問(FAQ)
Q1. 枕とマットレス、どちらを先に買い替えるべきですか?
「どちらを先に」よりも、トータルの予算で配分を考えるのがおすすめです。片方に全振りしても、もう片方に合わなければ効果が出にくくなります。強いて言えば、へたっている方・古い方を先に買い替えるのが自然です。
Q2. マットレスが柔らかいとき、枕はどう選べばいいですか?
柔らかいマットレスでは身体が沈む分、首の下の隙間が小さくなるので、枕は低めが合いやすくなります。高さはタオルで実験して、自分の感覚を掴んでから選ぶのが近道です。
Q3. マットレスを買い替えたら枕が合わなくなりました。なぜですか?
マットレスの硬さが変わると身体の沈み方が変わり、首の下にできる隙間の大きさも変わります。枕の高さが以前のマットレスに合わせたままだと、ずれが生じます。タオルで高さを調整し直してみてください。
Q4. 敷布団とベッドマットレスはどちらが身体にいいですか?
「どちらが良い」という答えはありません。寝具は総力戦なので、大事なのは実際に寝てみたときに生じる首の下の隙間を、適切に支えられる枕があるかどうかです。敷布団でもベッドでも、その条件が揃えば正解になります。
Q5. 枕とマットレスの相性が悪いか、自分で判断できますか?
ある程度は判断できます。仰向けで腰とマットレスの隙間を確認する、朝の身体の重だるさの場所を意識する、寝返りの打ちやすさを感じる——この3点のセルフチェックで、マットレスとの相性の目安が分かります。詳しくは記事内の「セルフチェック」をご覧ください。
まとめ:寝具は「総力戦」——枕とマットレスは両方で一つの環境
- 寝具は「総力戦」。枕単体では正解が出ない。マットレス・体型・体重・後頭部の形・首の長さの掛け算で決まる
- マットレスが柔らかい→枕は低め、マットレスが硬い→枕は高め。この原則を覚えておく
- 敷布団かベッドかは「どちらが良い」ではない。寝てみて首の下の隙間を適切に支えられるかが大事
- 沈み込みすぎ・硬すぎのサインは、朝の身体の重だるさや寝返りのしにくさから分かる
- 体重の変化、腰や股関節の既往、横向き寝の癖がある人ほど、相性の影響が出やすい
- 予算はトータルで配分。へたっている方を先に。マットレスを替えたら枕も見直す
- まずタオル枕で「自分に合う高さの感覚」をつかんでおくと、寝具選びの失敗が減る
みなみ父の「枕は変えたのに」ボヤき、原因はマットレスだったのかもしれません。今度帰省したときに、この話をそのまま伝えてみます。
けんぞう先生いいですね。まずは今使っているマットレスで、先ほどのセルフチェックを試してもらうところから始めてみてください。身体は環境が合えば、ちゃんと応えてくれますよ。
強い痛みやしびれがある場合は、まず医療機関での検査を優先してください。
検査で異常なしと言われたのに不調が続く方、そこからが当サイトの領域の出番です。あきらめる必要はありません。
その不調、寝具のせいだけじゃないかもしれません。身体の状態を整えた上で、自分に合った環境を選ぶことが大切です。
執筆・監修:けんぞう先生(整体師/施術歴13年・延べ2万7千人以上)
※この記事の内容は一般的な情報提供であり、診断や治療の代わりにはなりません。