むくみ
[#16]着圧ソックスの選び方|整体師が教える「履くタイミング」と、圧の強さの決め方
文=けんぞう(美容整体師・小顔矯正士/施術歴13年・延べ2万7千人以上)
こんにちは、整体師のけんぞうです。
「着圧ソックス、どれを選べばいいですか?」——施術の現場でも、本当によくいただく質問です。
着圧ソックスは、使い方さえ間違えなければ頼りになる道具です。でも「強いほど効く」「寝るときに履けばむくみが取れる」と思って選ぶと、身体にとっては逆効果になることがあります。
この記事では、いつ履くか(タイミング)、どのくらいの強さを選ぶか(hPa)、丈や素材の見方まで、選び方の全体像をお伝えします。最後にタイプ別のおすすめ3選も紹介しますので、買い物の前にぜひ読んでみてください。
みなみ先生、最近また夕方になると脚がパンパンで…。着圧ソックス買おうかなと思ってるんですけど、種類が多すぎてどれがいいのか分からなくて。
けんぞう先生わかります。ネットで検索すると「おすすめ10選」みたいな記事がずらっと出てきて、余計に迷いますよね。
みなみそうなんです。あと、子どもを抱っこして一日過ごした日なんか、ふくらはぎがもう石みたいに硬くなるんですよ。そういう日に履いて寝ちゃってもいいのかなって…。
けんぞう先生その気持ちはとてもよく分かります。でも実は、それがいちばんやってほしくない使い方なんです。今日はまず「着圧ソックスが身体の中で何をしているか」から話させてください。そこが分かると、選び方も使い方も自然と見えてきますから。
みなみはい、お願いします。ちゃんと分かった上で選びたいです。
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着圧ソックスは「むくみを取る道具」ではありません
けんぞう先生最初にはっきり伝えたいことがあります。着圧ソックスは「むくみを取る道具」ではありません。正確には、溜まった余分な水分や老廃物を、圧をかけて絞り出す手助けをする道具です。
みなみ「絞り出す手助け」…?むくみを取るのとは違うんですか?
けんぞう先生はい。むくみの「回収」を実際にやっているのは、身体の中の静脈とリンパです。着圧ソックスは外から圧をかけて、その回収を手伝っているだけ。着圧ソックス自体がむくみを吸い取っているわけではないんです。
けんぞう先生だからこそ、「いつ圧をかけるか」が大事になります。流れを手伝うべきタイミングで使えば力を発揮しやすいですし、流れを妨げるタイミングで使えば逆効果になる。着圧ソックスの選び方は、まずこの仕組みを分かるところから始まります。
着圧は"絞り出す"と"流れを止める"の両面がある
いちばん大事なのは「いつ履くか」
けんぞう先生着圧ソックスを選ぶとき、多くの方がまず「どのブランドがいいか」を調べます。でも、ブランドより先に決めるべきことがあります。それは「いつ履くか」です。
帰宅後〜お風呂までが本番
けんぞう先生着圧ソックスがいちばん力を発揮するのは、帰宅してからお風呂に入るまでの1〜2時間です。一日の終わりに、ふくらはぎの筋肉が硬くなって余分な水分や疲労物質が溜まっている。その状態を、圧をかけてぎゅっと絞り出してあげる。これが着圧ソックスの本来の使いどころです。
けんぞう先生はい。絞り出すのに一晩かける必要はありません。むしろ短時間で絞り出して、あとは締め付けを外す。このメリハリが大事なんです。
お風呂上がり〜就寝はおすすめしない理由
けんぞう先生お風呂で温まると血行が良くなります。血管が広がって、新しい血液が脚全体に流れ込んでいる状態です。そこに着圧ソックスを履くと、せっかく新しく流れてきたものまでシャットアウトしてしまう。アクセルとブレーキを同時に踏むようなものです。
けんぞう先生世の中には「寝るとき用」「就寝時におすすめ」と謳っている商品がたくさんあります。正直に言うと、そういう商品は選ばないでほしいんです。売り文句としては魅力的に見えるかもしれませんが、身体の仕組みから考えると、寝ている間ずっと締め続けることは流れを妨げてしまう。この記事で紹介する商品も、夜間の着用を前提にしていないものだけを選んでいます。
みなみ「寝るとき用」って書いてあるから安心して履いてましたけど…逆だったんですね。
日中の着用はどう考えるか
けんぞう先生日中については、場面によります。たとえば旅行やお買い物で丸一日歩き通す日に、その日だけ履いて過ごす。これは対策として私もおすすめできると思っています。ただし、動きの少ないデスクワークの方が毎日長時間履き続けるのは別の話です。日中であっても、同じように「絞り出す」と「新しく流す」のバランスが崩れてしまいます。
みなみ「毎日の習慣」にするんじゃなくて、「特別に脚を使った日のスポット使い」なんですね。
けんぞう先生その感覚を持っていれば、今お持ちのものも十分活躍してくれますよ。
圧の強さ(hPa / mmHg)の選び方
けんぞう先生タイミングの次は、圧の強さの話です。パッケージに「hPa」や「mmHg」という数字が書いてありますよね。これが着圧の強さを表す単位です。
強ければ効くわけではない
けんぞう先生「強いほうがしっかり効きそう」と思う方が多いのですが、ここに落とし穴があります。圧が強すぎると、短時間でも不快感が出たり、きつくて続けられなくなったりします。それだけでなく、必要以上に締め付けると静脈の流れそのものを妨げることもある。「強い=効く」ではない、これは覚えておいてください。
初めての人の目安
みなみじゃあ、初めて買う場合はどのくらいを選べばいいですか?
けんぞう先生一般的な市販品の場合、足首まわりで20〜30hPa(15〜23mmHg)程度が標準的なレンジです。初めての方はこのあたりから試すのがおすすめです。履いてみて「物足りない」と感じたら次に強めを試す、という順番のほうが失敗しにくいですよ。
医療用弾性ストッキングとの違い
けんぞう先生ひとつ大事な区別があります。この記事で紹介しているのはドラッグストアやネットで買える一般向けの着圧ソックスです。医師が処方する「医療用弾性ストッキング」とはまったく別物です。
けんぞう先生医療用は下肢静脈瘤や深部静脈血栓症などの治療・予防のために、医師の判断で圧の強さやサイズを指定して処方されるものです。自己判断で代用できるものではありませんし、逆に医師から処方されている方は、市販品に切り替えずに主治医の指示を優先してください。
丈で変わる「締める範囲」
けんぞう先生圧の強さの次は、丈の話です。「どこまで締めるか」によって、選ぶべきタイプが変わります。
ひざ下 / ハイソックス / タイツ
けんぞう先生大きく分けると3タイプあります。ひざ下タイプはふくらはぎ中心にむくむ方に向いていて、いちばん手軽です。ハイソックス(ひざ上)は太ももまでカバーしたい方向け。タイツタイプは脚全体を締めますが、帰宅後の短時間使用には脱ぎ履きの手間があります。
みなみ帰宅後に1〜2時間だけ使うなら、脱ぎやすいひざ下のほうが続きそうですね。
けんぞう先生その通りです。「続けられるかどうか」も立派な選択基準ですよ。
つま先あり・なし
けんぞう先生つま先ありは足先まで圧がかかるので、足全体のむくみが気になる方向け。つま先なし(オープントゥ)は蒸れにくく、夏場や帰宅後のリラックスタイムに使いやすいタイプです。機能的な差よりも、快適さで選んで問題ありません。
素材と履き心地で挫折しない
けんぞう先生タイミング、圧の強さ、丈。ここまで選べたら、最後は素材と履き心地です。地味に思えるかもしれませんが、ここで挫折する方が実は多いんです。
みなみたしかに、前に買ったやつがチクチクして結局履かなくなりました…。
けんぞう先生よくあるパターンです。締め付けが強い分、素材の伸縮性や肌ざわりは快適さに直結します。特に帰宅後、疲れた状態で「履くのが面倒」「肌に当たって不快」と感じると、そのまま引き出しの奥に行ってしまう。接触冷感素材や、縫い目が肌に当たらない設計のものなど、メーカーによって工夫はさまざまなので、レビューの「履き心地」に関するコメントは参考になりますよ。
タイプ別・着圧ソックス3選
けんぞう先生ここからは、ここまでお話ししたポイントを踏まえて、タイプ別に現実的な選択肢を紹介します。繰り返しになりますが、どれも「一晩中履き続けるもの」ではなく、絞り出す時間に使う道具として選んでください。
①定番から試したい方に:メディキュット リンパケア
けんぞう先生着圧ソックスの定番ブランドのひとつです。ひざ下・つま先なしのタイプで、初めて着圧ソックスを試す方が入り口として選びやすい商品です。
向いている人
- 初めて着圧ソックスを試す人
- ひざ下中心のむくみが気になる人
向いていない人
価格の目安:2,000円台(税込)
②医師監修・接触冷感素材が気になる方に:Dr.Feel ふくらはぎサポーター Cool
けんぞう先生医師監修で、日中の使用を前提に作られている商品です。接触冷感素材を使っているので、汗ばみやすい時期でもさらっと使いやすいタイプです。
向いている人
- 日中の使用を想定して作られた商品を選びたい人
- 暑い時期でも快適に使いたい人
向いていない人
- 冬場など、冷感素材の必要性を感じにくい時期に使う人
価格の目安:2,000円台(税込)
③段階着圧をしっかり試したい方に:スリムウォーク メディカルリンパ
けんぞう先生段階着圧設計で、一般医療機器としても扱われているタイプです。着圧の強さをしっかり感じたい方に向いています。
向いている人
- 段階着圧のしっかりした締め付けを試したい人
- 外出時にも使える見た目のデザインを求める人
向いていない人
- 締め付けの強さが苦手な人(他の2つと比べて着圧が強めです)
価格の目安:1,900円前後(税込)
着圧ソックスだけでは足りない理由
けんぞう先生ここまで着圧ソックスの選び方をお話ししてきましたが、最後に正直なことをお伝えします。着圧ソックスだけでは、むくみの根本は変わりません。
みなみえ…せっかくここまで選び方を教えてもらったのに?
けんぞう先生着圧ソックスは「絞り出す道具」でしたよね。でもむくみの根っこは、水分の摂り方、座りっぱなしの時間、寝ている間の脚の位置など、もっと手前にあります。絞り出す道具を正しく使いながら、同時に「溜まりにくい身体」に向かっていく。この両輪が揃って初めて、夕方の脚が変わってきます。
みなみ着圧ソックス以外にも、やれることがあるんですね。
けんぞう先生はい。むしろ、着圧ソックスだけに頼るより、ほかの手立てと組み合わせたほうが、夕方の脚が楽になりやすいんです。以下の3つの記事で、それぞれ別の角度からお話ししていますので、気になるものから読んでみてください。
着圧ソックスで「絞り出す」ことはできても、そもそも流すための水分が足りなければ、血管の中の流れは滞りやすいままです。血管の太さをストローに例えると、中を流れる水分量が少ないほど詰まりやすくなる——その仕組みを知ると、水分の摂り方への意識が変わります。
▶ むくみ対策、いちばんの近道は「水」かも?ストローで例える血流と水分の話
日中に下へ溜まったものを、寝ている間に重力を使って心臓方向へ戻す。これは着圧とは逆のアプローチです。「圧で絞り出す」帰宅後のケアと、「重力で戻す」就寝中のケアを組み合わせると、互いに噛み合って脚が軽くなりやすくなります。
▶ 足枕はむくみにアリ?「足を高くして寝る」の正しいやり方と高さを整体師が解説
そしてもうひとつ、「そもそも溜めない」という視点。座りっぱなしの時間が長いと、ふくらはぎの筋ポンプがほとんど動かず、静脈の血液を押し上げる力が弱まります。夕方にパンパンになる原因が日中の座り方にあるなら、帰宅後に絞り出すだけでは追いつきません。
▶ デスクワークで脚がむくむ人へ|座りっぱなしが引き起こす重だるさの正体
よくある質問
Q. 着圧ソックスは毎日履いても大丈夫ですか?
毎日長時間の着用はおすすめしません。着圧ソックスは「絞り出す道具」なので、脚を特に使った日に帰宅後1〜2時間だけ使うのが身体の流れに合った使い方です。毎日の習慣にするよりも、必要な日にスポット的に使うほうが、身体の流れに沿った使い方になります。
Q. 「寝るとき用」として売られている着圧ソックスはどう考えればいいですか?
当サイトの考え方では、着圧ソックスがいちばん力を発揮するのは帰宅後〜入浴前の「絞り出す時間」です。入浴後は血管が広がり新しい血液が流れ込んでいるため、そのタイミングで圧をかけると流れを妨げやすくなります。夜間用として設計された商品もありますが、圧をかけるタイミングという観点からは、絞り出したあとは締め付けを外して身体本来の流れに任せるほうが理にかなっていると考えています。最終的にはご自身の身体の感覚も大切にしてください。
Q. 圧の強さ(hPa)はどのくらいを選べばいいですか?
初めての方は足首まわりで20〜30hPa(15〜23mmHg)程度が目安です。強いほど効くわけではなく、必要以上の圧は静脈の流れを妨げることもあります。まず標準的な強さから試して、物足りなければ次に強めを選ぶ順番がおすすめです。
Q. 医療用の弾性ストッキングと市販の着圧ソックスは何が違いますか?
医療用弾性ストッキングは、下肢静脈瘤や深部静脈血栓症などの治療・予防のために医師が処方するものです。圧の強さやサイズを医師が指定し、管理のもとで使用します。この記事で紹介しているのは一般向けの市販品であり、医療用の代わりにはなりません。医師から処方されている方は、自己判断で市販品に切り替えず、主治医の指示を優先してください。
Q. 着圧ソックスを履いても脚の重だるさが変わらないときは?
片脚だけが急にむくむ、強い痛みや熱感を伴う場合は、着圧ソックスで対応する前にまず医療機関に相談してください。また、糖尿病や血流に関する持病がある方も、自己判断での使用は避け、主治医にご相談ください。病気由来でない場合は、水分の摂り方や座りっぱなしの時間を見直すなど、着圧ソックス以外のアプローチもあわせて取り入れてみてください。
まとめ
- 着圧ソックスは「むくみを取る道具」ではなく、溜まったものを「絞り出す手助け」をする道具
- いちばん大事なのはタイミング。帰宅後〜お風呂までの1〜2時間が本番
- お風呂上がり〜就寝の着用はおすすめしない。「寝るとき用」を謳う商品も同様
- 日中は「毎日長時間」ではなく、丸一日歩く特別な日のスポット使い
- 圧の強さは足首まわり20〜30hPa程度が初心者の目安。強い=効くではない
- 医療用弾性ストッキングとは別物。処方品がある方は主治医優先
- 丈はふくらはぎ中心ならひざ下タイプ、素材は肌ざわりとレビューを参考に
- 着圧ソックスだけでは根本は変わらない。水分・座り方・寝姿勢もあわせて見直す
みなみ「どれを買うか」より先に「いつ使うか」を決める、ってことですね。なんだかスッキリしました。
けんぞう先生はい。タイミングさえ守れば、着圧ソックスはちゃんと頼れる道具になりますよ。
最後に、要点だけもう一度
- 着圧ソックスは「帰宅後〜入浴前」に使うのが身体の流れに合う
- 就寝時着用を売りにする製品より、日中〜夕方用を選ぶ
- 初めてなら足首20〜30hPa・ひざ下タイプから
- 医療用弾性ストッキングとは別物。病気由来のむくみはまず医療機関へ
▶ この記事で紹介した着圧ソックスのタイプ別比較はこちら
P.S.
着圧ソックスを履く時間を「帰宅後の1〜2時間だけ」に変えてみてください。それだけで翌朝の脚の感触が変わるかもしれません。「絞り出して、外して、流す」——このリズムを身体に覚えさせてあげることが、道具を活かすいちばんの近道です。
片脚だけの急なむくみや強い痛みを伴う場合は、着圧ソックスで対応する前にまず医療機関での検査を優先してください。
そして、検査で異常なしと言われたのに不調が続く方、そこからが当サイトの領域の出番です。あきらめる必要はありません。
その不調、寝具のせいだけじゃないかもしれません。身体の状態を整えた上で、自分に合った環境を選ぶことが大切です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。強いむくみや痛み、持病がある場合は、医療機関にご相談ください。
執筆・監修:けんぞう先生(整体師/施術歴13年・延べ2万7千人以上)